ユニバーサルロボットが無料Eラーニングを提供、協働ロボットSIヤーの育成も:協働ロボット
ユニバーサルロボット(UR)は、URの協働ロボットの基礎から、少し複雑な作業フローのティーチングまでを学べる無料オンライントレーニング「Eラーニング」の一般ユーザー向け提供を始めると発表した。併せて、協働ロボットのインテグレーターを育成するための「UR SIer育成プログラム」を同年6月に開始することも発表した。
ユニバーサルロボット(以下、UR)は2018年5月31日、東京都内で会見を開き、URの協働ロボットの基礎から、少し複雑な作業フローのティーチングまでを学べる無料オンライントレーニング「Eラーニング」の一般ユーザー向け提供を始めると発表した。同社のWebサイトからユーザー登録するだけで無料で利用できる。併せて、協働ロボットのインテグレーターを育成する「UR SIer育成プログラム」を同年6月に開始することも発表した。
今回発表したEラーニングは、デンマーク本社が2017年から提供してきたものの日本語版となる。日本語のナレーションと日本語の表示により、URの協働ロボットについて分かりやすく学ぶことができる。基礎編は6つのモジュールから成り、87分で受講を終えることができる。少し複雑な作業フローのティーチングなどを学ぶ追加の3つのモジュールもあり、これらは1モジュール当たり15〜20分、合計60分程度で受講できるという。
なお、URでは、このEラーニングを基礎とする教育プログラム「URアカデミー」を実施している。一般ユーザー向けについては、Eラーニングに加えて、より本格的なトレーニングコースとなる「コアトレーニング」が用意されている。コアトレーニングは、URの販売代理店などで受講することができる。これらの他、販売代理店向けにメンテナンスや修理について学べる「サービス&トラブルシューティング」、ロボットインテグレーター向けとなる「アドバンストレーニング」がある。
中小企業への普及進めるにはSIヤーが必要
一方、UR SIer育成プログラムは、国内市場での協働ロボットの普及をより促進するための取り組みになる。URが認定する協働ロボットインテグレーターである「CSI(Certified System Integrator)」の取得を目指すものだ。
認定プログラムに参加するには、デモ用のURロボットとサービスキットの購入、グリッパーの用意、URの販売代理店からの推薦、複数人のコアトレーニングの完了が条件になる。これらの条件をクリアすれば、URの技術者から直接、プログラミングに関する技術サポートが得られ、サービス&トラブルシューティングとアドバンストレーニングも無料で受講できる。この認定プログラムを経て、認定条件を満たせば、CSIの取得が可能になる。
UR 北東アジア担当ゼネラルマネージャーの山根剛氏は「大手の製造業などは社内にロボットインテグレーターなどがいるが、中小企業だとそうはいかない。そういったときに、的確な提案ができるSIヤーが必要だが、現状は協働ロボットのことを理解しているSIヤーは圧倒的に不足している。今回の育成プログラムにより、2018年内に50社の参加、10社のCSI認定取得を目指したい」と述べている。
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