HPの“10倍速”3Dプリンタを気軽に量産で利用、DMM.makeの3Dプリントサービス:3Dプリンタニュース
DMM.comと日本HPは、3Dプリント出力代行サービスに「HP Jet Fusion 3D 4200」を導入した。販売店であるリコージャパンも協力の上、1件あたり1000〜5000個の出力に対応した「マスプロダクションサポート」で同プリンタを活用し、試作だけでなく最終製品の生産もサポートする。
DMM.comと日本HPは2018年4月25日、東京都内で会見を開き、同社の3Dプリント出力代行サービスに「HP Jet Fusion 3D 4200」を導入したと発表した。販売店であるリコージャパンも協力の上、1件当たり1000〜5000個の出力に対応した「マスプロダクションサポート」で同プリンタを活用し、試作だけでなく最終製品の生産もサポートする。
DMM.comは、プリンタメーカーと販売店、ユーザーがそれぞれ持つノウハウを共有できる場を提供することにより、3Dプリンタの利便性向上につなげる。
ドローンから建造物の部品まで
マスプロダクションサポートは、3Dプリント出力代行サービス「DMM.make 3Dプリント」で提供するサービスの1つ。3Dスキャンによるデータ作成や、CADデータの製作代行、3Dデータの修正などを受託している。3Dプリンタの出力に最適化された設計や品質保証を実践することは、3Dプリンタ活用のハードルとなっていた。ユーザーはDMM.make 3Dプリントを通じて、自前で確保するのが難しい設備やノウハウをサービスとして利用できる。
新サービスであるマスプロダクションサポートは、3Dプリンタの出力物を最終製品として使うことに重点を置いている。そのため、1件当たりの出力を1000〜5000個と設定している。造形によってはこれよりも少ない個数の受注にも対応する。従来のサービスと同様に、ユーザーは設備投資やメンテナンスの負担なしに、HP Jet Fusion 3D 4200をサービスとして利用することが可能だ。
最終製品の量産に3Dプリンタを活用できるようにするため、さまざまなサポートを提供する。具体的には、造形物を製品に利用可能かどうかの検証の他、1回の出力での生産量や出力時間、使用する材料の量の確認や調整にも対応。こうしたサポートは日本HPの支援の下でDMM.comが対応する。
サービスを利用した結果、実際にHP Jet Fusion 3D 4200を購入したいユーザーも支援する。日本HPやリコージャパンが協力し、DMM.comも含めた3社が持つ知見を共有してユーザーが自前の設備を最適に活用できるようにする。導入後のメンテナンスも日本HPとリコージャパンがサポートする。
日本HP 3Dプリンティングビジネス部 部長の秋山仁氏は最終製品に3Dプリンタを使う意義について、「3Dプリンタは金型をなくしたり、射出成型を不要にしたりする技術ではない。従来の工法や設計と組み合わせることで、さまざまなカスタマイズが実現できる。既に自動車メーカーや玩具メーカーが量産品に3Dプリンタを活用している。われわれは自社製品に3Dプリンタで出力した部品を使うことで、信頼性も証明している」とコメントした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- HPの“10倍速”3Dプリンタに新製品、価格は5万ドルからでフルカラー造形も
米国HPは、「SOLIDWORKS World 2018」において、同社の業務用3Dプリティングシステム「HP Jet Fusion」の新製品「HP Jet Fusion 300/500シリーズ」を発表。価格は5万米ドルからと入手しやすくし、同社として初めてフルカラーでの造形が可能な品種を用意した。 - “プリンタ界の巨人”の進撃始まる、閉じられた3Dプリンタビジネスに穴
日本HPは「第28回 設計・製造ソリューション展(DMS2017)」において同社の業務用3Dプリンティングシステム「HP Jet Fusion 3Dプリンティングソリューション」の実機を展示。機能の詳細や使い方、造形サンプルなど紹介。米HP 3Dプリンティング担当プレジデントのステファン ナイグロ氏は「ライバルは射出成形」だと語る。 - いよいよ日本でも販売する“10倍速い”3Dプリンタ「HP Jet Fusion」、ボクセルで広がる可能性
従来の造形方式と比較して10倍速いという、米HPが独自開発した「HP Jet Fusion 3D」が日本でも販売される。ボクセル単位でのデータが扱えることによって、部品内部に細やかなカラー情報が仕込める他、センサーなども仕込めるようになるとしている。 - ソニー定年退職の64歳、DMM.make AKIBAで伝えるモノづくりの極意
ソニーを定年退職後、DMM.make AKIBAで若手のサポートを行う“技術顧問”がいる。「モノづくりの復権」という志を胸に、長年の知識と経験で若手を導く阿部潔氏に話を聞いた。 - チタンの3Dプリントも! DMM.makeで「ミニ四駆ボディー」をとことん仕上げてみた
連載「『ミニ四駆』ボディーを3Dプリンタで作ろう」では、前回シリーズで作成したミニ四駆ボディーの3Dモデルデータを使って、実際に3Dプリントするまでの流れを紹介。第3回では「DMM.make 3Dプリント」を利用した高品質/高精度な造形に挑戦。また、造形後の後加工についても紹介する。 - 3Dプリント代行サービスに耐熱性・耐薬品性・機械的強度に優れたPPS樹脂を追加
DMM.comは、「DMM.make 3Dプリントサービス」に耐熱性・耐薬品性・機械的強度・難燃性に優れたPPS樹脂素材を追加した。今後、研磨サービスの提供についても検討している。 - 画像や3Dデータから3Dクリスタル彫刻を作成するサービスを開始
クリスタルガラスのレーザー彫刻サービス「DMM.make 3Dクリスタル」では、クリスタル内部に点でレーザー照射し、立体的に彫刻を施す。