“プリンタ界の巨人”の進撃始まる、閉じられた3Dプリンタビジネスに穴: DMS2017(1/2 ページ)
日本HPは「第28回 設計・製造ソリューション展(DMS2017)」において同社の業務用3Dプリンティングシステム「HP Jet Fusion 3Dプリンティングソリューション」の実機を展示。機能の詳細や使い方、造形サンプルなど紹介。米HP 3Dプリンティング担当プレジデントのステファン ナイグロ氏は「ライバルは射出成形」だと語る。
日本HPは「第28回 設計・製造ソリューション展(DMS2017)」(2017年6月21〜23日、東京ビッグサイト)において同社の業務用3Dプリティングシステム「HP Jet Fusion 3Dプリンティングソリューション」(以下、HP Jet Fusion 3D)の実機を展示し、機能や使い方について紹介した。
HP Jet Fusion 3Dは米HPが独自に開発した業務用3Dプリンティングシステムであり、ボクセル(Voxel)単位で3Dデータを扱えることや、オープンな材料開発プラットフォームを提供することなどが特色だ(製品について:いよいよ日本でも販売する“10倍速い”3Dプリンタ「HP Jet Fusion」、ボクセルで広がる可能性)。用途としては従来のような試作の他、最終製品製作も対象とする。
同製品はボクセル単位で造形ができるため、細やかな材料や色の指定が可能であることから(ただし記事公開時点では販売する造形材料は1種)、従来の積層造形や加工技術では実現できない、新しい発想の部品製作も可能になる。「エージェント」という溶解促進剤も、さまざまな種類を開発していくとのことで、例えば、部品に導電性を付加することなどが可能になるという。
2台の装置が連携して効率よく働く
同社は展示会場で、3Dプリンタ本体であり、造形処理を担う「HP Jet Fusion 3D 4200 Printer」と、材料の充填やパーツの冷却、取り出しを担う「HP Jet Fusion 3Dプロセッシングステーション」と共に、造形サンプルも披露した。同システムはこの2つの装置がセットで連動することで成り立つ。
3Dプリンタ本体の中央にあるユニット(下の写真、赤丸)が「ビルドユニット」で、同システムの作業効率を高めるための肝でもある。
3Dプリンタ本体の中にあるビルドユニット上部で積層造形が進められる。造形が完了した時点では、造形物は熱を帯びている。その状態でビルドユニットを抜き出し、事務机の袖机を運ぶがごとく、ごろごろとキャスターを転がしながら、プロセッシングステーションまで移動させてセットする。
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