Sigfoxの活用は国内100万回線へ、軽量・低価格・長寿命が開くIoTの可能性:製造業IoT(2/2 ページ)
京セラコミュニケーションシステムは2017年2月に国内サービスを開始したLPWAN「Sigfox」の進捗状況について説明。開始当初から2018年3月に目標としていた人口カバー率50%を無事に達成した他、100万回線で利用され、順調に普及が進んでいる様子を示した。
乱立するLPWANの中で抜け出た存在を目指す
国内外でIoT用通信としてLPWANは大きな注目を集めており、2017年には多くの方式が登場。さらに通信キャリアなどとの競合関係なども存在するが、KCCS代表取締役社長 黒瀬善仁氏は「LPWANは2017年にさまざまな方式が乱立する状況になったといわれるが、Sigfoxはその中でも最も割り切った通信方式だったといえる。とにかく広いカバー範囲と低価格、省電力、長寿命などを中心的な特徴とし、その分データ容量や速度などは抑えるということを徹底している。IoTの中で最も利用量が少なくて数が多い領域を狙っているので、IoT向け通信として注目される5GやNB-IoTとも競合しないと考えている」と位置付けについて述べている。
実際に他のキャリアなどがLPWANのサービス提供について発表があるもののなかなか展開が本格化しないところにも位置付けの難しさがあるとし「通信キャリアは5Gの方に関心が移ったのではないか」と黒瀬氏は述べる。その中でSigfoxは2017年2月の国内展開開始後、順調にカバーエリアを拡大し2018年3月末には主要都市をほぼカバーし人口カバー率50%を達成できる見込みだという。これは開始当初からの計画通りの数値で、今後も2019年3月に人口カバー率85%、2020年3月に99%へと引き上げていく計画である。個別でニーズがあった領域では先行で対応しており、北海道の夕張市では先行してネットワーク網を構築したとしている。
266パートナーで100万回線利用へ
KCCSによるSigfoxの展開は、サービス展開については全てパートナーによって実施する形をとっている。KCCSはネットワーク構築とエリア整備、各種パートナー支援に特化し、デバイス、アプリケーション、インテグレーションという3種のパートナーによって最終的にSigfoxを活用したサービスを提供する。「既にパートナーは266社が集まっている。パートナー会では『1年以内のサービスイン』を条件に交流イベントなども開催しており、サービスの具体化に向けた取り組みが活発に進んでいる」と黒瀬氏は手応えについて述べている。
既に実サービスなども出始めている。ゼロスペックによる灯油タンクの残量管理、アズビル金門による水道メーターの自動検針サービス、ネスレ日本によるキットカットの自動補充、オプテックスによるコインパーキングなど、さまざまな用途での活用が進んでいる。黒瀬氏は「2018年3月には100万回線の利用となっており、活用が広がっている。これはグローバルで見ても早いペースだ」と述べる。現状ではSigfoxのグローバルでの回線利用は250万となっており、3分の1以上が日本で利用されているという状況である。
IoTは実ビジネス化が難しいとされているが「パートナーが運営しているものなので、黒字化しているプロジェクトについてKCCS側では把握していないが、ユーティリティーの遠隔監視の領域では、収益化が早いのではないかと見ている」とビジネスへの手応えについて語っている。
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