Sigfoxの活用は国内100万回線へ、軽量・低価格・長寿命が開くIoTの可能性:製造業IoT(1/2 ページ)
京セラコミュニケーションシステムは2017年2月に国内サービスを開始したLPWAN「Sigfox」の進捗状況について説明。開始当初から2018年3月に目標としていた人口カバー率50%を無事に達成した他、100万回線で利用され、順調に普及が進んでいる様子を示した。
京セラ子会社の京セラコミュニケーションシステム(以下、KCCS)は2018年3月16日、パートナーイベント「KCCS IoT Conference 2018」を開催し、同社が国内で独占展開を行うLPWAN(Low Power Wide Area Network)の「Sigfox」の普及状況などを紹介した。
割り切った「Sigfox」の強み
IoTにはさまざまな用途があるが、大半はデータ量が少なく通信回数も少ない「状態監視」や「稼働監視」などだと想定されている。こうした場合、通常のキャリアネットワークでは、通信料金が高すぎたり、通信のための消費電力がかかりすぎたりするなど、用途の拡大の障害となっていた。こうした中で注目を集めているのが、無線通信として、低価格、省電力で広域をカバーできるLPWA(Low Power Wide Area)だ。
「Sigfox」はこうしたLPWANの1つで、2009年にフランスで設立された通信事業者Sigfoxが提供するグローバルIoTネットワークである。既に欧米を中心に45カ国で展開、2018年末までに60カ国での展開を予定し、回線数は600万、10億人の利用を見込むとしている。IoTに特化した“割り切り”のあるネットワークである点が特徴で既に1000以上のプロジェクトが進行。データ通信能力はそれほど高くないものの、低価格、省電力、長距離伝送が可能である。国内では下り回線も使用しておらず「遠隔監視」に特化した機能だけに限定し、それに合わせたネットワークの低価格化やデバイスの低消費電力化などを実現している。
SigfoxのCEOであるルードビック・ル・モーン(Ludovic Le Moan)氏は「もともとのビジョンとして、ネットワークで人だけでなく全てのモノを結び付けるということを目指した。IoT(モノのインターネット)はシンプルに使えることが重要で、これを実現することでエネルギーとコストを低減できる。しかし、全ての世界をカバーするには既存のネットワーク技術では難しい。Sigfoxは全ての世界をカバーできる可能性がある。結びついていない場所をなくすことができる可能性がある技術だ」と可能性について述べる。
さらに、同コンセプトの下、カバー範囲を広げるために衛星回線なども活用する方針も示す。「砂漠の真ん中など、ネットワーク設備を建設できないような地域でこそ状態監視のようなニーズは発生する。そうした中でも活用できるようにするには衛星回線が必要だ。衛星回線を用意しながら、デバイスは従来と同様の価格で提供できるようにしていきたい」とル・モーン氏は今後の取り組みについて述べている。
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