駆動用バッテリーを電力系統の蓄電池システムとして再利用、トヨタと中部電力:電気自動車
中部電力とトヨタ自動車は、ハイブリッド車など電動車の駆動用バッテリーを再利用した大容量蓄電池システムの構築や、使用済み駆動用バッテリーのリサイクルについて実証実験を行う。
中部電力とトヨタ自動車は2018年1月31日、ハイブリッド車など電動車の駆動用バッテリーを再利用した大容量蓄電池システムの構築や、使用済み駆動用バッテリーのリサイクルについて実証実験を行うと発表した。
2018年度中に蓄電池システムの実証を開始し、その結果を踏まえて2020年度に電池1万台相当分、発電出力で1万kWの導入を目指す。当面はニッケル水素電池の再利用だが、2030年頃には電気自動車やプラグインハイブリッド車で用いたリチウムイオン電池も蓄電池システムで活用していく。中部電力は、再生可能エネルギーの大量導入で発生する需給バランスの変動に的確に対応するとともに、電力系統のさらなる合理的運用を目指す。
これまでトヨタ自動車は、使用済みニッケル水素電池を定置型蓄電システムで再利用する取り組みを行ってきた。これらは、トヨタ車の販売店やサプライヤーの生産拠点での設置にとどまっていた。今回の蓄電池システムは、電力系統におけるさまざまな課題解決に用いることを目指す。駆動用バッテリーは単体で性能が低下しても、多数の電池を組み合わせることで車載用以外でのさらなる活用が見込める。具体的には、再生可能エネルギーの導入拡大に伴う需給調整や、周波数の変動、配電系統の電圧変動を吸収する役割を想定している。
レアメタルなどの材料を回収して再資源化することにより、電池をリサイクルする仕組みの確立も検討していく。
トヨタ自動車は、豊田ケミカルエンジニアリングや住友金属鉱山、プライムアースEVエナジーと共同で、ニッケル水素電池のニッケルを電池原料として再資源化する取り組みを2010年から進めている。含有するニッケルを高度に選別、抽出する技術を開発したことにより、ニッケル製錬工程に原料として投入することを可能にした。
関連記事
- EVが持つ電力需給調整能力とは? 日産が「バーチャルパワープラント」の実験
日産自動車が、東京電力や関西電力、住友電気工業といった企業と協力し、電気自動車(EV)を活用したバーチャルパワープラント(VPP、仮想発電所)の実証試験を積極的に実施している。 - 車載用“角形”電池でもトップに、パナソニックがトヨタの電池パートナーに名乗り
トヨタ自動車とパナソニックは、車載用バッテリーについて協業の可能性を検討する。両社で高性能リチウムイオン電池や全固体電池を開発する。パナソニックはテスラに供給する円筒形だけではなく角形でも車載用電池で業界ナンバーワンを目指す。トヨタ自動車は2030年までに電動車の販売を2016年比3.7倍に増やしていく中で、パナソニックと協力して電池の競争力向上と安定供給を実現していく。 - 2030年に550万台の電動化戦略掲げるトヨタ、「異次元の構えが不可欠」
トヨタ自動車は、2030年に向けた電動化戦略を発表した。同年までにトヨタ自動車単独での販売台数をHVとPHVが450万台、EVとFCVが100万台とし電動車合計で550万台を見込む。 - トヨタは電気自動車「eQ」で何を反省したか、今後に何を生かすのか
「ハイブリッド車で20年間培ってきた要素技術が、EV開発での競争力の源泉になる」と繰り返し説明してきたトヨタ自動車。2017年11月27日に開催した技術説明会で、あらためて電動化に対する取り組みを語った。 - ホンダが車載ニッケル水素電池からレアアースを抽出、そのまま電池材料に再利用
ホンダは、ハイブリッド車用ニッケル水素電池から99%以上の純度で金属化されたレアアースを抽出し、再度ハイブリッド車用ニッケル水素電池の負極材としてそのまま利用できる仕組みを開発した。 - かつおだしでレアアースをリサイクル!? アイシンが有機溶媒不要のプロセスを確立
アイシン・コスモス研究所は、「人とくるまのテクノロジー展2014」において、かつおだしの主成分であるイノシン酸を用いたレアアース回収技術を紹介した。 - 電気自動車は本流なのか、リサイクルの観点から考える
そんなにたくさん作って捨てる時はどうするの、という話。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.