ホンダが車載ニッケル水素電池からレアアースを抽出、そのまま電池材料に再利用:製造技術
ホンダは、ハイブリッド車用ニッケル水素電池から99%以上の純度で金属化されたレアアースを抽出し、再度ハイブリッド車用ニッケル水素電池の負極材としてそのまま利用できる仕組みを開発した。
ホンダは2013年3月3日、ハイブリッド車用ニッケル水素電池から、99%以上の純度で金属化されたレアアースを抽出する技術を開発したと発表した。抽出したレアアースは、鉱山から採掘された後に取引されるものと同等の純度を持つため、再度ハイブリッド車用ニッケル水素電池の負極材としてそのまま利用できる。「電池交換や廃車などによって不要になったハイブリッド車用ニッケル水素電池から、ハイブリッド車用ニッケル水素電池の負極材にそのまま使えるレアアースを抽出して再利用する仕組みは世界初だ」(ホンダ)という。
これまでホンダは、日本重化学工業のプラントで、使用済みニッケル水素電池からレアアースを含有する酸化物を抽出するなどのリサイクルの取り組みを進めていた。今回は、この酸化物をさらに溶融塩電解して、ニッケル水素電池の負極材にそのまま使用できる金属化されたレアアースとして抽出することに成功した。抽出されたレアアースの純度は99%以上で、回収率は80%以上を達成している。
日本重化学工業は、2013年3月初旬から、回収した高純度のレアアースを、ハイブリッド車用ニッケル水素電池に使用する負極材として電池メーカーに供給する。
なお、今回供給するレアアースは、東日本大震災の影響で使用できなくなった販売前のハイブリッド車386台に搭載されていたニッケル水素電池から抽出した。今後は、販売店での部品交換などで回収した使用済みのニッケル水素電池についても、一定の数が集まり次第、同じ仕組みで再利用を行う方針である。
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