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ADASや自動運転で躍進、ザイリンクスが訴える「柔軟性」と「拡張性」の価値車載半導体

ADASや自動運転システムの開発が進む中、車載向けデバイスで躍進しているのがFPGA大手のザイリンクスである。2017年には26メーカー、96車種に採用されたとし、累計で4000万ユニット以上の出荷となったという。同社が訴求するのがFPGAの持つ「柔軟性」や「拡張性」がこれらの車載向けの新ソリューションに適合するという点だ。

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 先進運転支援システム(ADAS)や自動運転システムなど、自動車向けの新たな技術開発が進む中で、躍進しているのがFPGA(Field Programmable Gate Array)大手のXILINX(ザイリンクス)である。

26メーカー96車種で採用、累計出荷は4000万台に

 ザイリンクスではADAS関連製品を2000年代はじめから12年以上も出荷。その中で2013年から大きく採用を伸ばし、2013年に9メーカー、13車種での採用だったのに対し、2017年は26メーカー、96車種での採用となるなど大きく躍進を遂げた。さらに累計出荷ユニット数は4000万ユニット以上になっているという。

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ザイリンクスのADASでの採用実績(クリックで拡大)出典:ザイリンクス

 車載向けのフロントカメラでも日本と欧州の4つのティア1サプライヤーに導入し、市場シェアは38%で業界2位の位置を確保している。ザイリンクス オートモーティブビジネスユニット シニアディレクターのWillard Tu(ウィラード・トゥ)氏は「2017年には新たに中国のティア1サプライヤーとの新たな契約も獲得し、さらに伸ばしていける」と手応えについて述べている。

センサーフュージョンに強み

 ザイリンクスが特に強いのが、ADASなどで必要になる数多くのセンサー情報を統合するセンサーフュージョンデバイスである。トゥ氏は「自動運転などを実現する中で、自動車メーカーにとっては、新たな技術基盤を調達する考えを持つ一方で、自社の製品の差別化にもつなげたい考えを持っている。そのため、従来は調達していたソフトウェア開発を自社で行うようにし、そこを差別化のポイントとする動きが出ている」と変化について述べる。

 さらに、トゥ氏は「現在車載業界で起こっている変化は過去にないもので、ティア1サプライヤーから自動車メーカーまでが悩んでいるという状況である。市場からはADASおよび自動運転などのニーズは高まる一方であるが、先進技術がどんどんと出てきている状況。数年後に完成する自動車にセンサーが何個必要になるのかという点を悩みたくないというのが本音だ。そのため後で回路から変更できるFPGAデバイスへのニーズが高まっている」と躍進の背景について説明する。

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自動運転における構成図とザイリンクスが強みを発揮するエリア(クリックで拡大)出典:ザイリンクス

 自動運転などで必要となるAI(人工知能)向けプロセッサについてもターゲットに据えているという。AI向けデバイスとしてはNVIDIAが車載向けでも大きく採用を広げているが「NVIDIAが伸ばしているのは基本的にはコンピューティングパワーが必要な『学習』の領域。学習で得たアルゴリズムを実行する『推論』の領域はGPUほどのパフォーマンスは必要なく、十分対応できる。一方で消費電力やデバイス間での遅延などの課題に対しては優位性があると考えている」とトゥ氏は述べている。

 ただ、NVIDIAが展開する、「推論」向けの自動運転用コンピュータ「Xavier」との比較については「まだベンチマークテストも行っておらず、なんともいえない」(トゥ氏)としている※)

※)関連記事:NVIDIAのCEOが日本のAI活用に期待、コマツとの協業で自律運転マシンが建設現場へ

 自動車向けデバイスとしては新たに2018年1月15日(現地時間)に車載グレードの「Zynq UltraScale+ MPSoC」を供給開始したことを発表。新製品は、同社製品において、SoCタイプで初めてISO26262 ASIL-Cレベルに対応。64ビットのクアッドコア「ARM Cortex-A53」およびデュアルコア「ARM Cortex-R5」をベースとするプロセッシングシステムと、ザイリンクスの「UltraScaleアーキテクチャ」を1つのデバイスに統合し、単一回路で機能安全の確保に貢献する。トゥ氏は「ヘテロジーニアス(異機種混在環境)でASIL-Cレベルに対応できることが特徴だ」と述べている。

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