レベル3の自動運転は2017年から実用化スタート、止まらずに曲がる衝突回避も:MONOist 2017年展望(1/2 ページ)
2016年は“半自動運転”元年。Tesla MotorsやMercedes-Benz、日産自動車から、高速道路の1つの車線であれば自動で走行できるモデルが発表された。車線変更までシステムが判断して行えれば、自動運転は次の段階に進む。その「レベル3の自動運転」は2017年にも実用化が始まる。
2016年は“半自動運転”が日本市場に投入され始めた1年だった。
トップバッターはTesla Motors(テスラ)。1月に、販売中の電気自動車「モデルS」を対象に「オートパイロット」「オートレーンチェンジ」を利用可能にするソフトウェアを配信した。
7月にはMercedes-Benz(メルセデスベンツ)「Eクラス」の新モデルが発売。方向指示器を押すだけで高速道路での車線変更を自動で行える機能を搭載、自動追従機能も進化させた。8月に日産自動車がミニバン「セレナ」を全面改良し、同一車線自動運転技術の「プロパイロット」を搭載した。
これらのモデルは、運転支援システムが作動すると運転操作の主体はシステムとなる。米国運輸省 国家道路交通安全局(NHTSA)が定義した自動化レベルのうち「レベル2」に相当する。あくまで運転支援システムではあるが、“レベル2の自動運転”とも呼ばれる。
システム名称でオート(自動)と名乗る場合があり、車両にもさまざまなセンサーが搭載されているが、周辺を監視する責任はドライバーにある。自動運転という言葉のイメージから機能を過信したのか、2016年は米国でテスラ車の事故が相次いだ。
半自動運転は、高速道路の1つの車線を走行することができる
先述した3社の半自動運転機能は、全車速自動追従機能と車線維持を同時に行って、高速道路を車線変更せずに1つの車線を走行するものだ。
既に、車線逸脱警告や、車線をはみ出しそうな時に走行車線内に戻るよう補正するステアリング制御を行う車線維持支援はさまざまなモデルに搭載されている。半自動運転機能の車線維持はステアリングを自動で制御するので、事実上は手放し運転も可能。
ただ、メーカーはステアリングから手を離すことを奨励してはいない。日産自動車のプロパイロットは一定時間手を離すとシステムが解除される仕組みとなっている。
テスラやEクラスの自動車線変更は、ドライバーが方向指示器を操作することで作動する。隣の車線に走行可能なスペースがあり、後方から車両が接近していないことをセンサーが検知すると車線の変更を自動で行うというものだ。
自動運転らしい自動運転はレベル3以降、2017年から製品化はじまる
高速道路の半自動運転機能は、ドライバーの操作なしで車線変更を行う複数車線の自動運転の前段階だ。周辺監視もシステムが行う“レベル3の自動運転”となる。
高速道路での複数車線の自動運転の製品化は、Audi(アウディ)や日産自動車が先駆け、2017年から本格化しそうだ。
アウディは民生機器テクノロジーの展示会「CES 2017」(2017年1月5〜8日、米国ネバダ州ラスベガス)において、フラッグシップセダンの「A8」にレベル3の自動運転を搭載して今後数カ月内に発表すると表明した。システムはNVIDIAと共同開発する。日産自動車は2018年に危険回避や車線変更を自動で行う複数車線の自動運転を導入する計画だ。
富士重工業は、2017年に車線変更しない高速道路の自動運転を、2020年に車線変更も含めた自動運転を製品化する。また、「高速道路での自動運転」という表現ではあるが、ホンダは2020年に、トヨタ自動車は2025〜2030年に製品化するロードマップを明らかにしている。大手サプライヤであるRobert Boschは2021年に高速道路でのレベル3の自動運転を実用化するとしている。
乗員が行き先を決めるだけで運転操作を全く行う必要がなく、ドライバーの緊急時にも車両が退避行動をとれるレベル4の自動運転も、最初に市場投入される時期は決して遠くない。Ford Motor(フォード)はステアリングやアクセル、ブレーキペダルなどを持たない完全自動運転車を2021年を目標に量産すると発表している。
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