スマート工場化への第一歩、パナソニックが「スモールスタートIoT」を訴求:SCF2017
パナソニックグループは「SCF2017/計測展2017 TOKYO」においてスマート工場化への第一歩を簡単に実現可能な「スモールスタートIoT」を訴求。「現場発想」を元に、大きな負担を抑えてIoT活用を実現する機器やソリューションを紹介した。
パナソニックグループは「SCF2017/計測展2017 TOKYO」(2017年11月29日〜12月1日、東京ビッグサイト)において、スマート工場化への第一歩を簡単に実現可能な「スモールスタートIoT」を訴求。「現場発想 日本のモノづくりを現場から変えて行く」をテーマとし、大きな負担を抑えてIoT活用を実現する機器やソリューションを紹介した。
“1台2役”のPLCとモーションコントローラー
IoT(モノのインターネット)などを活用したスマート工場化へのニーズは、急速に高まっている。しかし、工場内に存在するさまざまなメーカーの機械や古い設備をまず「つなぐ」段階でつまずくケースが多い。この課題を解決するためにパナソニックデバイスSUNXでは、制御と情報を1つの本体で扱えるPLC(プログラマブルロジックコントローラー)「FP7」を展開してきた。「FP7」は機械や設備の制御を行う通常のPLCの機能に加えて、情報の収集機能と蓄積機能、Webサーバ機能を搭載。集めた工程情報や機器の稼働情報をWebブラウザ経由で簡単に共有できるようになる。通常のコントローラーとしても活用可能である他、既存ラインに取り付けるだけで、「見える化」用のIoTゲートウェイとして活用することも可能だ。
担当者は「大きな投資が難しい中小製造業を中心に需要があると考えていたが、意外に中堅企業や大企業などからも引き合いが多く驚いた。古い機械や既存設備を『つなぐ』ということは多くの製造業が同じ課題を抱えている。これをシンプルに解決する意味で『FP7』は貢献する」と述べている。
SCF2017では新たに、「FP7」と同コンセプトでラインアップの拡充を進める方針も示したWebサーバ機能を持つ「スマートモーションコントローラー」を参考出展し2018年度後半に商品化するという。スペースを25%削減する他、従来比4倍の高速応答性能を持つという。参考出展モデルは「FP7」よりもサイズは少し大きくなるが「モーションコントロールになると製造装置の中などで使われるケースも多いが、IoTなどで配線が増える傾向の中で、省スペース化ニーズは高まっており、1台で2役を兼用できることが評価を受けている」と担当者は手応えについて語っている。
パナソニックが訴求する「スモールスタートIoT」
パナソニックではこれらの「簡単にIoTを実現できる機器」をベースとして「スモールスタートIoT」をコンセプトに、簡単にIoTを実現できるソリューションを提案。「小さく、簡単で、安い現場発想のIoTを実現する」(担当者)。SCF2017では、稼働監視、検査工程、加工工程、吸着搬送、生産工程、組み立て工程、品質管理、品質評価の各工程でのIoT活用および見える化について提案した。
例えば「稼働監視」では、「FP7」を後付けした装置3種類の状況をリアルタイム監視しているという想定のデモを行った。機器3種類にはセーフティライトカーテンを設置しており、手を入れると異常を感知して機械の動作が止まる。それを「FP7」を経由して、遠隔地でも稼働が止まった状況を把握できるというものだ。「FP7には簡単にインタフェースを作成できる機能もあり、簡単に稼働監視が実現できる」(担当者)としている。
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