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ソニー「aibo」復活の意義を考察する:ロボット開発、その深層(4/4 ページ)
新型の家庭向けロボット「aibo」を発表したソニー。同社社長兼CEOの平井一夫氏は「ユーザーに感動をもたらし、人々の好奇心を刺激する会社で有り続けることが、ソニーのミッションであり、ソニーの存在意義だ」と高らかに宣言したが、筆者の大塚実氏はやや複雑な思いでこの発表会を見ていた。
真価が問われるのは「次」か
aiboの発表を受け、ネットでは大勢の人が反応。デザインについては見事に賛否両論だったが、評価が分かれるというのは、むしろ望ましいことだろう。万人受けするようなデザインなんて、大抵の場合は陳腐になる。あくまでも好みの問題なので、リアル側に振ったERS-1000の後で、メカっぽいバリエーションでも出せば良いだけの話だ。
ERS-1000の動き。筆者個人としては、このデザインは好きな方だ(クリックで再生)
「好き」の反対は「嫌い」ではなく「無関心」だ、という言葉がある。普段、あまりロボットに興味が無いような人まで、aiboのデザインについてコメントしているのを見ると、それだけソニーがメーカーとして特殊な存在で、いまだに「ソニーらしさ」に期待している人が多いということだろう。
過去のソニーは、「ウォークマン」やAIBOといった画期的な製品を世に送り出し、人々の生活スタイルすら変えてきた。それに匹敵するようなインパクトを、社会に与えることができるか。aiboではなく、むしろ今後の製品でこそ、「ソニーの存在意義」が問われることになるのではないだろうか。
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