CEATEC 2017ロボットレポート(前編)――電機メーカーは何を見せたのか:CEATEC 2017(3/3 ページ)
CPS/IoTの総合展示会となった「CEATEC JAPAN 2017」では、数多くのロボットが展示されていた。前編となる本稿では、電機メーカーを中心にロボット関連のブース展示の様子を紹介する。
「FIELD system」をアピールするファナック
初出展のファナックは、2017年10月から国内向けのサービス運用を開始した製造業向けのオープンプラットフォーム「FIELD system」をアピールしていた。FIELD systemについて、詳しくは関連記事※)を参照して欲しいが、これにより、ロボットなどの情報を収集し、生産性の向上を図ることが可能になる。既に、社内でも一部で使っているそうだ。
※)関連記事:止めない工場への第一歩、ファナックがFIELD systemで描く世界
コンバーターを使えば、他社製品であっても、旧型機種であっても接続可能。これにより、例えば古いCNCに、加工時間予測などの機能を追加することができる。ユーザーにとっては、既存の設備を更新しなくても、活用できるメリットがある。
必要に応じ、ストアからアプリケーションを購入して機能を利用する。上記の加工時間予測のほか、故障の予兆をつかんでダウンタイムを無くすための「iZDT」、稼働時間の相関関係を見て生産性の改善につなげる「iPMA」などが提供されている。アプリはファナックだけでなく、サードパーティーからも提供される予定。
“CEATEC名物”といえばオムロンの卓球ロボット
個人的に“CEATEC名物”といえば、今回で4回目の出展となる卓球ロボット「フォルフェウス」だ。オムロンブースでは、実際にこのフォルフェウスと対戦できるようになっており、いつも来場者で賑わっていた。
技術的な詳細については関連記事※)を参照して欲しいが、4代目フォルフェウスの注目機能は、スマッシュへの対応だ。卓球のスマッシュは非常に速いため、ロボットの移動速度では基本的に追い付けない。そこでどうしているかというと、スマッシュを打たれそうな動きを検知したら、打ち返しやすい場所に事前にラケットを移動しているのだ。
※)関連記事:オムロンの「卓球ロボット」が示す制御技術のポテンシャル
スマッシュの気配は、AI技術「時系列ディープラーニング」で解析する。人間が打ってくると判断したら、ラケットをクロス(対角線)側へ移動して待機。ボールを追従するアルゴリズムも高速化したことで、時速40〜80km程度のスマッシュへの対応も可能になったそうだ。ただし、気が付いたと思うが、ストレート側に打ってはいけない。
後編では、通信キャリアやおもちゃメーカー、大学、研究機関などのロボット関連の展示を紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 新生CEATEC、電子部品メーカーはCPS/IoTにどうアプローチしたのか
「モノ」売りから「コト」売りへの移行が重視されるCPS/IoTの展示会に生まれ変わった「CEATEC JAPAN」。「エレクトロニクスショー」時代から出展を続けてきた電子部品メーカーの展示も、もはや「スゴい部品」を見せるだけでは済まされない。CPS/IoTに対して、どのようにアプローチしているのだろうか。 - ロボット開発で注目される「ROS」(Robot Operating System)とは何か
ロボットの話題を聞くことが増えたが、判断と制御、駆動を備えたロボットを作るのはかなり骨が折れる。その負担を軽減するフレームワークが「ROS」(Robot Operating System)だ。 - Pepperを動かす「アプリ」を作ろう〜まずはSDKの基本的な使い方を習得する
パーソナルロボット「Pepper」の一般販売が間もなく開始され、“ロボットのある生活”がまた一歩近づいた。Pepperの注目点はいくつもあるが、その1つが、自由なアプリ開発だ。ここでは配布されているSDKを使ってのロボットプログラミングに挑戦する。 - ロボット開発に学ぶ、モノづくりへのOSS活用ポイント
モノづくりにおけるOSS(オープンソースソフトウェア)への関心は高まる一方ながら、上手に活用されている例は少ない。OSSによるロボティクス領域の形成と発展をサポートする東京 オープンソースロボティクス協会の取り組みを通じ、「モノづくりへのOSS活用ポイント」を探る。 - いまさら聞けない産業用ロボット入門〔前編〕
日本は「ロボット大国」とも呼ばれていますが、その根幹を支えているのが「産業用ロボット」です。それは世界の産業用ロボット市場で圧倒的に日本企業がシェアを握っているからです。では、この産業用ロボットについてあなたはどれくらい知っていますか? 今やあらゆるモノの製造に欠かせない産業用ロボットの本質と基礎を解説します。 - 総合電機メーカーの面目躍如、既存技術の活用で水中点検ロボットを実用化
パナソニックが保有する技術を多く転用したダム点検用の「水中点検ロボット」を開発、2016年度内の事業化を狙う。バッテリーは電動アシスト自転車用のバッテリーを利用している。