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ロボット開発に学ぶ、モノづくりへのOSS活用ポイント(1/5 ページ)

モノづくりにおけるOSS(オープンソースソフトウェア)への関心は高まる一方ながら、上手に活用されている例は少ない。OSSによるロボティクス領域の形成と発展をサポートする東京 オープンソースロボティクス協会の取り組みを通じ、「モノづくりへのOSS活用ポイント」を探る。

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 オープンソースソフトウェア(OSS)の活用は、ロボットなどハードウェアの開発においても重要なトピックだ。「ロボットの“PARC”「Willow Garage」が撒いた種」で紹介したシリコンバレーのロボットスタートアップも多くがOSSのROS(Robot Operating System)を活用し、小規模なチームでも大企業顔負けのロボットシステムを短期間で構築している。

・短期集中連載:ROS(Robot Operating System)概論

 日本でもexiiiの「HACKberry」「PLEN」など、ハードウェアスタートアップがOSSを製品のフィードバックやアプリ作成に生かす事例が出てきている。また、日本発のイノベーションとして世界を狙う際、ソフトバンク「Pepper」やジェイアイエヌ「JINS MEME」など、開発者コミュニティーの構築に腐心している例も少なくない。

exiiiがオープンソース化した筋電義手開発プロジェクト「HACKberry」

 モノづくり企業におけるOSSへの関心は高まる一方で、日本発の成功事例は少なく、取り組み方に困っている担当者も多いことだろう。そこで、今回は「東京 オープンソースロボティクス協会」(Tokyo Opensource Robotics Kyokai、以下 TORK)への取材を通じて、ロボット開発への取り組みや海外のOSSコミュニティーとの関わりの中で見えてきているOSS活用のポイントについて整理した。

 TORKはロボット分野におけるOSSの活用に関わる諸問題の解決支援と、ユーザーコミュニティー、アカデミア、インダストリーの関係強化を目指している団体だ。設立4年目と新しい組織だが、過去にトヨタ自動車や産業技術総合研究所をはじめとするさまざまな企業や研究所を相手に、ロボット開発やコンサルティング、セミナーなどを行っている。

サービスロボットに対する関心の高まり

 TORKは非営利団体だが、活動資金調達のためにコンサルティングサービスを提供している。2016年度の受注案件数は前年度比50%増となっており、OSSを活用したロボットに対する関心の高まりが見て取れる。内容的には移動ロボットのプロジェクトが増えており、企業による興味が産業用ロボットからサービスロボットへ広がりつつあるとのことだ。

 問い合わせは大企業からが多い。昨今のロボットブームを受けて、新規事業としての取り組みが始まった企業は多く、自社の技術者が知らない、解決できないことがTORKへ相談として寄せられている。依頼・相談の中で最も多いのは、「チュートリアルを開いてROSを一通り触ってみたが、次に何をしたら良いか分からない」というものだ。これと並ぶ相談は「既に自社で組み上げ方も分かっているが、専門的な観点からの意見も聞きたい」というものだ。

 なお「全くROSの使い方が分からない」という段階での問い合わせもあり、こうした相談に対してTORKでは、開催しているワークショップ(ROSワークショップ初級編など)への参加を勧めている。

「TurtleBot 2」
ROSを採用したロボットとして良く名前が挙がる「TurtleBot」

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