HEREが位置情報サービスにcm単位の測位を活用、三菱電機と協業で:自動運転技術
三菱電機とHEREは、位置情報サービスのさらなる高精度化に向けて業務提携を結んだ。HEREのクラウド位置情報サービス「Open Location Platform」と、車線ごとにセンチメーター級の自車位置測位を実現する三菱電機の「高精度ロケーター」を組み合わせてサービスを提供する。
三菱電機とHEREは2017年10月27日、東京都内で会見を開き、位置情報サービスのさらなる高精度化に向けて業務提携を結んだと発表した。
HEREのクラウド位置情報サービス「Open Location Platform」と、車線ごとにセンチメーター級の自車位置測位を実現する三菱電機の「高精度ロケーター」を組み合わせてサービスを提供する。これにより、車線単位での事故や渋滞、迂回(うかい)できる車線の情報を配信可能になる。また、車両に搭載したセンサーから得た情報による高精度地図のメンテナンスも実現する。
サービスを提供する地域は、HEREがOpen Location Platformを展開する欧米で先行させ、2020年のサービス開始を計画している。日本向けのサービス展開では、三菱電機も出資している日本の高精度3次元地図の事業会社「ダイナミックマップ基盤」と協力する。ダイナミックマップ基盤はHEREとの連携に合意している。
三菱電機の高精度ロケーターは、GPSや加速度センサー、ジャイロセンサー、GPSの誤差を補正するセンチメーター級測位補強サービス「CLAS」(※1)に対応し、自動運転に求められる高精度な自車位置測位を実現するもの。
(※1)三菱電機は2017年8月に、Robert Bosch、Geo++、u-bloxと合弁会社を立ち上げ、センチメーター級の測位を実現するGNSS(全地球航法衛星システム)のグローバルでの提供や、GNSSと日本政府が主導するCLASの互換性確保を目指している。
また、HEREのクラウド基盤に車両のさまざまな情報を送信するため、4G LTEの通信モジュールも高精度ロケーターに内蔵する。高精度ロケーターが、車両に搭載されたセンサーの情報を統合する役割も担い、位置情報以外もHEREのクラウド基盤に集める。三菱電機はクラウドとのデータのやりとりのため、将来的に5Gの通信モジュールも搭載する考えだ。
車線単位でリアルタイムな交通情報を提供
HEREのOpen Location Platformは既に、リアルタイムな交通情報や、駐車スペースの空き情報、ハザード警告といったサービスに利用されている。HERE CEOのエザード・オーバービーク氏は「高精度ロケーターを組み合わせることで新しいサービスを提供できる」と語った。
サービスの例として、「左側2車線が事故渋滞だが右側1車線は順調に通行できる」といった車線レベルでの渋滞情報や迂回路情報の提供を挙げた。また、事故や路面の異常を検知したセンサーの情報をクラウドに集めてリアルタイムにインシデント情報を配信する他、駐車場内の特定の空きスペースへの誘導や案内も可能になるという。また、高精度地図のメンテナンスの効率化も図れるとしている。
HEREと三菱電機が提供可能なサービスは今後さらに具体的に詰めていき、共同で自動車メーカーに提案していくことも視野に入れる。
通信モジュールなしの高精度ロケーターは既に量産レベルにあるという。今後、セキュリティも含めて通信モジュールを搭載し、2018〜2019年に量産する目標だ。高精度ロケーターはどこの地図会社のデータとも組み合わせられるため、自動車メーカー側から地図会社の指定があれば対応可能だとしている。
「カーナビゲーションシステムの地図ではインクリメントPとも長年付き合いがあるが、ダイナミックマップ基盤を通じて日本の地図会社とは協力関係にあるといえる」(三菱電機 三田製作所 カーマルチメディアシステム部長の田中昭二氏)。
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