出資や協業が相次ぐHERE、複数のパートナーと組む狙いは:自動運転技術(1/3 ページ)
「2016年は変革の年、2017年は実行の年」だというHERE。2016年は出資と協業で大きな動きが相次いだ。複数の企業と協力する狙いをHERE オートモーティブ事業部 APAC市場戦略本部 統括本部長のマンダリ・カレシー氏が語った。
地図データ大手のHEREは2017年2月23日、東京都内で会見を開き、事業方針を説明した。HERE オートモーティブ事業部 APAC市場戦略本部 統括本部長のマンダリ・カレシー氏が「2016年は変革の年、2017年は実行の年」だと述べる通り、2016年末から出資と協業で大きな動きが相次いでいる。カレシー氏がその狙いを語った。
2016年末から続く出資、協業
2015年8月、Audi(アウディ)、BMW、そしてDaimler(ダイムラー)は、Nokia(ノキア)の100%子会社であるHEREを3社共同で買収した。ベルリンに本社をおくHEREがドイツ自動車メーカーの傘下に入った形だったが、2016年末から2017年初めにかけて、株主に変化があった。「これでわれわれはドイツ企業ではなく、グローバル企業になった」(カレシー氏)。
Intel(インテル)、中国のTencentと子会社の地図データ会社NavInfo、シンガポール投資公社(GIC)がHEREへの出資を発表した。出資比率はインテルが15%、TencentとNavInfo、GICが10%を占める。
インテルからの投資を受けるのは、自動運転用の高精度地図のリアルタイムアップデートを実現するためだ。インテルのCPUやクラウド基盤で地図データの常時更新に対応する。インテルとはIoT分野でも提携する。「2017年はIoTにも重点を置きたい。位置情報が重要になる中で、われわれのプラットフォームを提供していけると考えている」(カレシー氏)。
中国ではNavInfoと協業してプラットフォームの開発環境「HERE Auto SDK」などを中国で展開していく。中国専用に開発を行うのではなく、中国以外でも展開できる高度運転支援向けソリューションを提供する。
HEREに出資した企業以外にも、協業するパートナーが増えている。「業界が求めるものはHEREがワンストップで提供していきたい」(カレシー氏)という考えの下、画像認識技術を持つMobileye、GPUのNVIDIA、ライダー(LiDAR:Light Detection and Ranging)を開発中のパイオニアと協力する。ここにインテルも加え、自動運転分野でのパートナーと位置付けている。
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