Tom Tomがゼンリンと日本で交通情報サービスを提供、製品化は2018年度:自動運転技術
ゼンリンとゼンリンデータコム、位置情報サービスを手掛けるTom Tom Internationalは、日本向けの交通情報サービスを共同開発する。
ゼンリンとゼンリンデータコム、位置情報サービスを手掛けるTom Tom International(以下、Tom Tom)は2017年10月27日、東京都内で会見を開き、日本向けの交通情報サービスを共同開発すると発表した。
ゼンリンの地図情報と、Tom Tomが収集する交通ビッグデータと解析技術を組み合わせて、高精度な渋滞情報の提供や、目的地への正確な到着時間の算出、渋滞最後尾の予測などの機能を開発する。渋滞情報サービスを既に保有している企業に向けては、新サービスとのデータの融合も進めながら、納入先に適した形で提供していく。
2018年度内に交通情報サービスの精度検証を進めて製品化し、国内の自動車メーカーやカーナビゲーションメーカー、ナビアプリベンダーなど向けに提供する。また、共同開発の成果は、ゼンリンデータコムを通じてナビゲーションサービス「いつもNAVI」に展開する他、NTTドコモへの提供も検討している
「生きた地図が使えるように」
今回の協業では、Tom Tomのビッグデータ解析技術とゼンリンの地図データ、ゼンリンデータコムのアプリ開発や情報配信基盤の運営を組み合わせる。
Tom Tomは世界68カ国で地図サービスを提供する。サービスの1つである交通情報サービス「Tom Tom Traffic」は、同社製のカーナビゲーションシステムやSIM、スマートフォン端末、Uberなどパートナー企業からグローバルで5億台の位置情報を得ている。Tom Tomは人工知能(AI)技術や機械学習を活用して分析処理を行い、ユーザーに情報を配信する。今回の協業により同社はゼンリンの日本の地図を使えるようになり、Tom Tom Trafficを日本国内で提供可能となる。
「プローブ情報の分野に関していうと、Tom Tomは既に大規模なデータを持っており、5億台分のデータを5秒おきに解析、情報を配信する技術を確立している。グローバルでの実績は大きなアドバンテージだ。具体的な数は公表できないが、日本でも通信キャリアと協力して大量のデータを得られる」(ゼンリンデータコム 代表取締役社長の清水辰彦氏)
ゼンリン 上席執行役員 第二事業本部長の藤沢秀幸氏は、今回の協業について「Tom Tomに集まるダイナミックなデータをゼンリンの地図に載せて利用者に返すという、地図エコシステムの取り組みの第一歩になる」と説明した。「地図が生きて使えるように、ダイナミックな情報が生きた地図の上で動くための配信の仕組みづくりに取り組んでいきたい。自動運転車では、センサーなどの情報をクラウドに集めて分析し、地図に反映した後でそれぞれのクルマに戻して使うことになる。こうした地図のエコシステムは自動車に限らずさまざまな業界で関わってくる」(藤沢氏)。
Tom Tomとゼンリンは、日本の高精度3次元地図の事業会社「ダイナミックマップ基盤」が取り組む協調領域とも連携し、ダイナミックマップ向けの情報の生成や提供の実現を目指す。地図情報の逐次更新への取り組みも検討を進めていく。
競合はHEREだけでなく、AmazonやMicrosoft、IBMも
TomTomでManaging Directorを務めるAntoine Saucier氏は、位置情報サービスをめぐる市場環境について次のようにコメントした。「各社がさまざまなアナウンスを行っている。重要なのは、どんな技術的背景からそれを実施していて、何に投資していくのか。過去の技術と比較して何をしようとしているのか、という点だ。リアルタイムトラフィックに関して、われわれは10年以上の経験と歴史があり、今後もリサーチや開発、投資を継続していく。だからこそリーダーシップを取れている。競合はHEREばかりでなく、Googleやクラウドインフラ「Amazon Web Services(AWS)」を提供するAmazon、Microsoft、IBMなどもビッグデータに注目しており、プレイヤーが増え始めている。そういう中でも、今回のような正しい協業を進めていく」(Saucier氏)。
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