レクサスの新型「LS」は、6ライトキャビンや匠の技で唯一無二のフラグシップに:車両デザイン
トヨタ自動車は、レクサスブランドのフラグシップセダン「LS」を全面改良して2017年10月19日に発売した。税込み車両価格は980万〜1680万円。月間販売目標台数は600台だが、発表前に7600台を受注した。
トヨタ自動車は2017年10月19日、レクサスブランドのフラグシップセダン「LS」を全面改良し同日から発売すると発表した。税込み車両価格は980万〜1680万円。月間販売目標台数は600台だが、発表前に7600台を受注した。
新型LSには2種類のパワートレインを設定する。1つは排気量3.5l(リットル)のV型6気筒ツインターボエンジンで、10速ATを組み合わせる。もう1つは排気量3.5lのV型6気筒エンジンと「マルチステージハイブリッドシステム」の組み合わせで、10段変速が可能だ。
また、運転支援システムは従来の予防安全パッケージ「Lexus Safety System+(トヨタ車ではToyota Safety Sense P)」と同等の機能に新技術を追加した「Lexus Safety System+ A」を設定。ベースグレードを除いてLexus Safety System+ Aが標準装備となる。新パッケージは、自動でステアリングを制御して歩行者との衝突回避を支援する「アクティブ操舵(そうだ)回避支援」など「世界初」(トヨタ自動車)とする機能を充実させた。
アクティブ操舵回避支援は、歩行者と衝突する可能性が非常に高い時、ブレーキ制御のみでは衝突回避が困難だが、ステアリング制御によって衝突回避もしくは被害軽減が可能な場合に作動する。ガードレールと接触する可能性が高い場合にも同様の回避支援を行う。この機能は、前方監視用のカメラを従来の単眼カメラからステレオカメラに変更することで実現。より確実に歩行者を検知し、ステアリング制御で回避行動をとるスペースの有無も同時に検出する上で、Lexus Safety System+(トヨタ車ではToyota Safety Sense P)のセンサーとは異なるステレオカメラが最適だと判断した。
何にも似ていないクルマを目指して
プラットフォームは低重心な「GA-Lプラットフォーム」を採用。低重心を生かす低く構えたスタイリングとした。全高を15mm、エンジンフードを30mm下げるとともに、前席の高さも従来モデルから30mm下げた。乗降時には電子制御エアサスペンションが車高を調整し、乗降しやすくする。軽量化で神戸製鋼のアルミ材を採用しているが、外板については安全性の確認が取れたという。その他の部位については安全性を確認中だ。
外観デザインでは“何にも似ていないクルマ”を目指し、従来の4ドアセダンとは異なるクーペシルエットの「6ライトキャビン」(側面から見た時にガラスが3枚ずつ合計6枚配置される形状配置)に行きついた。フロントからリアに抜けるシャープな構成から、フェンダーがダイナミックに突き出す造形とした。ドアフレームとガラスの段差を少なくすることにより、より滑らかなボディーラインを実現している。
ボディーカラーは、金属を削り出したような印象を与える「マンガンラスター」や、鮮やかさと陰影を両立する「ソニックアゲート」の2色を新開発した。
内外装の細部の意匠には職人の技術を生かすことにより、海外のプレミアムブランドとの差別化を狙った。「ドイツにはドイツの、米国には米国の、“らしさ”を主張する表現がある。日本の匠の技が持つ細やかさから、他のプレミアムブランドとはちょっと違うと感じてほしい」(トヨタ自動車 レクサスインターナショナル プロジェクトチーフデザイナーの須賀厚一氏)。
ドアトリムの装飾には、ガラス工芸家による切り子細工を大量生産で再現したガラスオーナメントが採用されている。旭硝子が、金型設計技術やガラス成型技術に、日本各地の精密加工や特殊研磨技術を取り入れた量産プロセスを確立した。この他にも、シートや内装の縫製などで日本の美意識を表現している。
フロントグリルのメッシュパターンも、日本人らしい根気のいる地道な作業で作り込んだ。光の当たり方や角度によって見え方が変わるようにこだわったという。長さや角度、幅の異なる数千個に及ぶ面で緻密に構成しており、空気を取り込むフロントグリル本来の機能や、法規にも配慮しつつ、デザイン性も保てるよう、「CADモデリングの匠」が半年間にわたって造形を検討した。
このメッシュパターンに時間をかけたのは、日本らしい細やかさをエクステリアからも発信するため。「フロントグリルは、等間隔に同じ幅の線を並べるようなデザインがほとんどだ。その中で、新型LSはちょっと違うと印象に残ることを狙った。レクサスブランドではモデルごとに最適なデザインを採用していくので、このフロントグリルをそのまま転用することは考えていない」(須賀氏)。
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