TNGAのエンジンとトランスミッションは2017年から搭載、燃費は従来比20%改善:エコカー技術(1/3 ページ)
トヨタ自動車は、“もっといいクルマづくり”のための構造改革「Toyota New Global Architecture」に基づいて、エンジン/トランスミッション/ハイブリッドシステムを刷新する。TNGAパワートレインは2017年発売の新型車に搭載する。2021年までにエンジンで9機種、トランスミッションで4機種、ハイブリッドシステムで6機種を投入する計画だ。
トヨタ自動車は2016年12月6日、東京都内で会見を開き、“もっといいクルマづくり”のための構造改革「TNGA(Toyota New Global Architecture)」に基づいて、エンジン/トランスミッション/ハイブリッドシステムを刷新すると発表した。TNGAパワートレインは2017年発売の新型車に搭載する。排気量2.5l(リットル)の直列4気筒直噴エンジンと、8速ATもしくはハイブリッドシステムを組み合わせる。2021年までにエンジンで9機種、トランスミッションで4機種、ハイブリッドシステムで6機種を投入する計画だ。
今回、燃費など環境性能と走行性能の向上を両立するためにパワートレインの基本設計を見直した。この基本設計を機種を超えて展開することにより、幅広いモデルの商品力を高め、開発効率も改善する。
パワートレインだけで燃費を20%改善する
2017年に発売する、TNGAパワートレインを搭載したガソリンエンジン車とハイブリッド車は、パワートレインが寄与した分のみで、燃費を同社従来比で20%向上する。加速時間は、ガソリンエンジン車で12%、ハイブリッド車で10%短縮し、動力性能も引き上げている。車体の軽量化などパワートレイン以外の改良も含めればさらに伸びしろがあるという。
エンジンは広い回転域で熱効率とトルクを向上しており、トランスミッションは高効率な領域を広く使えるようにした。これにより、スムーズな発進やドライバーの意のままに反応する加速を実現したという。
こうした環境性能と走行性能の向上の両立は、排気量2.5lのガソリンエンジンや、8速AT、ハイブリッドシステムだけを改良したのではない。冷却損失や排気損失、ポンプの損失や機械損失を無くし、熱効率や伝達効率を向上するための設計を一から見直したことによって達成している。
TNGAでは一から設計を見直し
TNGAでは、どんな車格でも共通して求められる部分である基本設計を刷新した。その基本設計をベースとし、排気量や駆動方式など車種ごとの違いに対応していく。
エンジンを例にすると、現状では同じ排気量でも複数の機種のエンジンが存在している。TNGAではシリンダー単位で設計を見直し、そのシリンダーをいくつ組み合わせるかによって排気量を決める。そこに過給など市場ごとに要求される機能を付加しながらTNGAエンジンのラインアップをそろえていく。
一から見直して刷新した基本設計を展開することにより、クルマの基本性能である「走る/曲がる/止まる」を幅広いモデルでレベルアップさせる。
今後、先進国だけでなく新興国でも燃費規制や排出ガス規制が強化されていき、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車の需要が高まっている。トヨタ自動車は、将来的には燃料電池車や電気自動車が増えていくが、当面は大多数のクルマがエンジンを搭載するとし、エンジンを軸にパワートレインの燃費向上が必要だと判断した。
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