レクサス「LS」は2017年秋発売、衝突回避の新技術はステレオカメラがカギ:安全システム(1/2 ページ)
トヨタ自動車は、レクサスブランドのフラグシップセダン「LS」の新モデルに搭載予定の予防安全技術を発表した。従来の予防安全パッケージ「Lexus Safety System+」と同等の機能に新技術を追加し、「Lexus Safety System+ A」として日米欧向けに設定する。LSの全面改良は2017年秋を予定している。
トヨタ自動車は2017年6月26日、東京都内で会見を開き、レクサスブランドのフラグシップセダン「LS」の新モデルに搭載予定の予防安全技術を発表した。従来の予防安全パッケージ「Lexus Safety System+(トヨタ車ではToyota Safety Sense P)」と同等の機能に新技術を追加し、「Lexus Safety System+ A」として日米欧向けに設定する。LSの全面改良は2017年秋を予定している。
新パッケージには、「世界初」(トヨタ自動車)の技術として、自動でステアリングを制御して歩行者との衝突回避を支援する「アクティブ操舵(そうだ)回避支援」と、車両の後方を横切る歩行者を検知してブレーキを制御する「対後方歩行者サポートブレーキ」がパッケージに含まれる。
この他にも高速道路での加減速と操舵を支援し、車線変更もアシストするシステム「Lexus CoDrive」を設定するなど、新しい予防安全パッケージではドイツ自動車メーカーのプレミアムブランドを意識した。
新機能はステレオカメラで実現
会見には、トヨタ自動車 先進技術開発カンパニー プレジデントの伊勢清貴氏が出席、「実安全」の追求のため、実際に起きた事故の形態に即して予防安全技術の開発を進めていることを説明。Lexus Safety System+ Aは、従来の予防安全パッケージのLexus Safety System+よりもカバーできる事故状況を増やした形になる。
新たに対応したのは、自転車や夜間の歩行者の検知、出会い頭の衝突事故防止やドライバーの異常で運転できない状態の安全確保だ。交差点での出会い頭の衝突を警告するのは「ITSコネクト」と前側方をセンシングするレーダーの組み合わせだ。ITSコネクト対応車種同士の車車間通信によって交差点に車両が接近していることを知らせる。
ドライバーの異常はステアリングのタッチセンサーで判断する。レーントレーシングアシスト(車線維持支援)とレーダークルーズコントロールの作動中、音や表示で警告してもドライバーが一定時間ステアリングを操作しない場合に、走行中の車線内で緩やかに減速して停止。ドアを解錠して緊急自動通報システムで通報する。クラクションとハザードランプで異常を知らせながら減速、停止することで他の車両にも注意を促す。
「世界初」(トヨタ自動車)として搭載するアクティブ操舵回避支援は、対歩行者の衝突回避性能を高めたもの。歩行者と衝突する可能性が非常に高い時、ブレーキ制御のみでは衝突回避が困難だが、ステアリング制御によって衝突回避もしくは被害軽減が可能な場合に作動する。ガードレールと接触する可能性が高い場合にも同様の回避支援を行う。
この機能は、前方監視用のカメラを従来の単眼カメラからステレオカメラに変更することで実現した。より確実に歩行者を検知し、ステアリング制御で回避行動をとるスペースの有無も同時に検出する上で、ステレオカメラが最適だと判断した。ステレオカメラの性能について具体的な数値は伏せたが、「Lexus Safety System+の単眼カメラよりも検知距離は少し長くなったが、検知できる幅は同等」(トヨタ自動車の説明員)だという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.