レクサス「LS」は2017年秋発売、衝突回避の新技術はステレオカメラがカギ:安全システム(2/2 ページ)
トヨタ自動車は、レクサスブランドのフラグシップセダン「LS」の新モデルに搭載予定の予防安全技術を発表した。従来の予防安全パッケージ「Lexus Safety System+」と同等の機能に新技術を追加し、「Lexus Safety System+ A」として日米欧向けに設定する。LSの全面改良は2017年秋を予定している。
ステレオカメラの搭載車種拡大……ではない
アクティブ操舵回避支援のステアリングの制御は走行中の車線をはみ出さない範囲にとどめる。歩行者の動き方の予測と、ステレオカメラで検知した空きスペースを基に、ステアリング制御を介入させるかを判断する。隣接する車線にはみ出さなければ回避できない場合はステアリング制御は作動しない。
車線を逸脱する操舵回避支援をついては「開発することで、どの程度死亡事故を防げるかによる。衝突回避のため安全に車線を逸脱するには、さらに高度な全周囲のセンシングが必要になる。より多くの死亡事故を防ぐ機能であることが開発の判断基準になる」(トヨタ自動車の説明員)という。
アクティブ操舵回避支援が作動するのは、ヘッドアップディスプレイによる注意喚起や、従来の対歩行者自動ブレーキと同様の警報に加えて、ブレーキのアシスト、自動ブレーキによる制動を順に行った後だ。そのため、ステアリング制御が介入する時点では停止するために減速した状態となる。
当面は、ステレオカメラの搭載が前提の新しい予防安全パッケージのLexus Safety System+ Aに一本化するのではなく、従来のLexus Safety System+も残る。ステレオカメラの搭載車種を拡大するかどうかは明言しなかった。「アクティブ操舵回避支援の採用車種を増やしていく意思はあるが、ステレオカメラが必須なのか、技術の進化によって他のソリューションがあるのかは検討していく部分だ」(トヨタ自動車の説明員)。
「レベル2の自動運転」とは言わない
「自動運転につながる高度運転支援技術」と冠したLexus CoDriveは、レーダークルーズコントロールの作動中に車線維持に必要なステアリング制御を支援するもの。レーダークルーズコントロールは時速0〜180kmまで設定できる。ステアリング操作の支援は、カメラで検知した白線を基にするが、白線を検出しにくい場合や車間距離が短い場合には先行車両の走行軌跡に合わせて制御する。カーブ進入時の速度が速すぎる場合には、地図情報を基に自動で減速する機能も含まれる。
また、Lexus CoDriveは車線変更の支援も行う。ドライバーが安全を確認した上で方向指示器を操作すると、車線変更に必要なステアリング操作を支援する機能だ。車線変更のアシストは、先に市場適合性を確認できた日本市場向けから搭載する。欧米にも順次展開する。
トヨタ自動車の説明員によれば、ベンチマークとなったのは同様の機能を展開するMercedes-Benz(メルセデスベンツ)やTesla(テスラ)、BMWだという。これから発表されるAudi(アウディ)の「A8」もライバルに挙げた。
これらのシステムは、加減速と操舵を同時に制御するという意味では“レベル2の自動運転”と呼ぶこともできるが、伊勢氏は「LSに搭載したのは自動運転ではない。名称によって過信されるのを避ける意味でも、自動運転につながる高度運転支援技術と表現している。運転支援技術が高度になり出来が良くなっても、まだまだ運転の主体はドライバーであり続ける」と説明した。
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