新型「Eクラス」は高速道路の自動車線変更機能を搭載、ドイツ当局も承認:自動運転技術
Daimler(ダイムラー)は、2016年春に発売する予定の新型「Mercedes-Benz E-Class(Eクラス)」に、自動で走行車線の変更を行う「Active Lane Change Assist(アクティブレーンチェンジアシスト)」を採用すると発表した。
Daimler(ダイムラー)は2015年12月9日(欧州時間)、2016年春に発売する予定の新型「Mercedes-Benz E-Class(Eクラス)」に、自動で走行車線の変更を行う「Active Lane Change Assist(アクティブレーンチェンジアシスト)」を採用すると発表した。
Active Lane Change Assistは、新型Eクラスの運転支援システムパッケージ「DRIVE PILOT」の新機能である。時速80〜180kmで高速道路など複数の車線を持つ道路を走行中に車線変更する際、方向指示器を点灯してから2秒以上が経過すると動作する。搭載したミリ波レーダーとカメラを用いて近傍に車両がいないことを確認できたら、自動的にステアリング操作して3秒以内に車線変更を行う機能である。その間ドライバーはシステムの動作を見守るだけでよい。既にドイツの連邦自動車庁(KBA)から車両搭載のための暫定的な承認を得ており、今後はEU全域での承認取得を進めるという。
センサーには、車両前方を検知する長距離ミリ波レーダー、車線が複数あることを確認するステレオカメラ、車線変更すると接触事故を起こすような位置に他の車両がいないことを確認するための自車の側方や後方を広範囲に検知する準ミリ波レーダーを用いる。また、複数の車線を持つ道路を走行中であることは、車載情報機器「COMAND Online」のナビゲーション機能で確認する。
同社によればドイツ国内で発生する交通事故のうち15%は同じ方向に走行している車両の間で発生しており、そのうち20%は車線変更時に起きているという。この車線変更という“危険な”状況に対してダイムラーは、2007年に「Blind Spot Assist」、2010年に「Active Blind Spot Assist」を投入して対応している。
Blind Spot Assistは、安全に車線変更できない位置に他の車両がいる場合に警告する機能。Active Blind Spot Assistは、警告に加えて、車線変更を続けようとすると片側だけブレーキをかけて車線変更をさせないようにする機能も備えている。Active Lane Change Assistは、Active Blind Spot Assistをさらに進化させて自動運転機能を追加したものになる。
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