コンクリートの鉄筋結束作業を自動化するロボット、鉄筋をレールに見立てて移動:ロボット開発ニュース(2/2 ページ)
千葉工業大学と大成建設は、建造物に用いるコンクリートの骨組みとなる鉄筋を自動で結束する自律型鉄筋結束ロボット「T-iROBO Rebar(ティーアイロボ・リバー)」を開発。2018年度から、本格的に現場に導入し、鉄筋結束作業の省人化/効率化による鉄筋工事の生産性向上を目指す。
レーザー距離センサーを総計14個搭載
T-iROBO Rebarは、鉄筋上を移動しながら結束を行う鉄筋交差部を検出して、自動鉄筋結束機を用いて鉄筋を結束する自律移動型ロボットだ。2本の鉄筋を鉄道のレールに見立てて、2軸あるテーパー車輪によって移動を行う(縦移動)。レールとなる鉄筋と垂直に交差する鉄筋を検知すると、正確な結束箇所を確認しつつ自動鉄筋結束機による結束を行う。もし、鉄筋の端部や鉄筋のない部分などがあれば、そのことを検知してパラレルリンクを使って別のレールとなる鉄筋に移動(横移動)して結束を繰り返す。これにより、ほとんどの鉄筋交差部を自動で結束することが可能になる。
センサーはシンプルなレーザー距離センサーを用いている。周囲を検知するためロボットの四隅に2個ずつで計8個、レールとなる鉄筋の位置を検知するため2軸あるテーパー車輪の両端に計4個、交差する鉄筋の検知、結束箇所の確認にそれぞれ1個で計2個、総計で14個だ。T-iROBO Rebarの開発を担当した千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo) 研究員の西村健志氏は「レーザー距離センサーはシンプルなこともあって、カメラやより複雑なセンサーを用いるよりも安価だ。高性能のセンサーがあれば確かにいろんなことができるが、ロボットが高価になっては使ってもらえない。今後の実証実験で、レーザー距離センサーの搭載数も最適化したい」と語る。
移動機構となるテーパー車輪は、自動鉄筋結束機によって結束を行う側の軸を固定する一方で、もう一方の軸はフレキシブルに動く構造になっている。「この構造により、鉄筋結束時には本体がぶれずに済み、鉄筋配置(配筋)の誤差吸収も可能にしている」(西村氏)という。
T-iROBO Rebarの外形寸法は幅40×奥行50×高30cmで全重量は20kg以下。移動速度は縦移動が毎秒160mm、横移動が毎秒35mm。容量が174Whで交換可能なバッテリーにより5時間の連続可能が可能である。
価格は「乗用車1台くらい」を想定
T-iROBO Rebarを導入すれば、鉄筋工事全体工程の約2割を占める鉄筋結束作業を省人化できる。また、ロボットによる結束作業と、作業員によるその他の作業を同時に進行できるため鉄筋工事のプロセスそのものが変わる可能性もある。鉄筋工事全体では約1〜2割程度の作業効率向上を見込んでいる。
千葉工業大学 常任理事 未来ロボット技術研究センター 所長の古田貴之氏は「鉄筋結束作業は500m2分の作業を行うのに10人の作業員で1日かかるという。これを夜間も働けるT-iROBO Rebarで対応し、人間の作業員にはロボットには難しいより複雑な作業を行ってもらう」と語る。また大成建設 本社・技術センター 先進技術開発部 部長の上野純氏は「最終的には、乗用車1台くらいの価格、400万〜500万円で購入できるようにしたい。この価格帯であれば、比較的短期間で投資を回収できるだろう」と述べている。
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