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トンネル災害などに向けた“防爆ロボ”三菱重工と千葉工業大学が開発
トンネル災害やプラント事故など引火性ガスの充満が懸念される現場へ投入される、「爆発しない」ロボットを三菱重工業と千葉工業大学が開発した。
三菱重工業と千葉工業大学は2016年7月12日、防爆性能を備えた移動ロボットを開発したと発表した。遠隔操縦可能な移動ロボットしては国内で始めて、産業安全技術協会の防爆型式検定(防爆認証)を取得している。
これまで引火性ガスの充満が懸念される現場へ、電力駆動のメカを現場判断にて投入することは難しいとされていたが、防爆認証を得たロボットの開発により、災害時の拡大防止や人命救助への貢献が期待される。
このロボットは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2014年から行っている「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」の成果であり、トンネル内において崩落災害などが起こった際、遠隔操作によって構内へ入り込み、引火性ガスの情報や崩落状態を把握する。
底面には合計6本のクローラー(メイン2本、サブ4本)を備え斜度45までの傾斜を登坂し、最大時速12キロで移動する。有線および無線での遠隔操縦が可能であり、有線操縦時には防爆仕様ケーブルを用いることで最長1000メートルまでの遠隔操縦に対応する。
今回取得した認証は国内有効な認証だが、NEDOでは海外展開を見据えてATEX(EU圏における防爆指令、CEマーキング適合指令の1つ)の取得を目指し、さらなる走破性能の向上、周辺環境情報取得能力の実装を目指すとしている。
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