信号灯から始めるIoT、ジェイテクトが古い機械でも接続できる「見える化」を提案:CEATEC2017
ジェイテクトは、CPS/IoTの展示会として生まれ変わった「CEATEC JAPAN 2017」に初出展。古い機械でも簡単に稼働監視が行える「JTEKT-SignalHop」など、簡単にIoTによる生産革新に取り組めるソリューションを提案した。
ジェイテクトは、「CEATEC JAPAN 2017」(2017年10月3〜6日、千葉県・幕張メッセ)に初めて出展。古い機械でも簡単に稼働監視が行える「JTEKT-SignalHop」などを中心に、簡単にIoTによる生産革新に取り組めるソリューションを提案した。
「CEATEC JAPAN」は2016年からCPS/IoTの展示会として生まれ変わり、従来のB2C中心からB2Bへと大きく舵を切った。その中で、ジェイテクトも初めてCEATEC JAPANに出展した。出展の理由について「B2Bに大きくシフトし、スマートファクトリーが主要テーマの1つとなる中でまずは様子を見るために出展した。通常われわれが出展しているような展示会とは客層も異なり、どういう反応が得られるか楽しみだ」とジェイテクト 取締役副社長で工作機械・メカトロ事業本部 本部長の井坂雅一氏は述べている。
古い機器や中小企業でもIoTが活用できる提案
ジェイテクトが今回提案したのが「中小製造業でも使えるIoEソリューション」である。同社では「モノづくりの中心は人であるべきだ」という思想のもと「IoT(Internet of Things)」ではなく「IoE(Internet of Everything)」という言葉を使用して、生産革新ソリューションなどを展開。トヨタ自動車のラインビルダーとして大手製造業への提案の一方で、中小製造業でも導入しやすいソリューションの整備を進めている。
こうした中で今回中心として提案したのが、2017年9月に発売した「JTEKT-SignalHop」だ。「JTEKT-SignalHop」は、工場内の製造機器や設備に付いている信号灯に設置するだけで、「赤」「黄色」「緑」などの信号灯のステータスを監視できる機器である。無線によるデータ通信で離れた場所からでも信号灯の点灯状態をリアルタイムに把握できる。
「工場の見える化」への取り組みでは、古い機械で通信ができないケースや、異種システム間などでデータの一括取得ができないケースなどがハードルとなっていた。「JTEKT-SignalHop」はこうした障害を解決し、既存の設備でも簡単に、さらに負担を小さく、設備の稼働状況の把握を行える。
あらゆるメーカー製の信号灯に対応できる機構となっており既存設備の信号灯などを交換する必要がない。さらに送信機は電池で駆動するため外部からの電源線などは必要ない。接着するだけなので工場の稼働日にも取り付け可能で、電気工事者への手配なども不要だ。設備の稼働状態は送信機から受信機へ無線で自動転送され、接着するだけで簡単に工場の見える化を実現できる。さらにさまざまな見える化機能を搭載しており、設備の稼働累積時間、異常発生回数、異常発生累積時間などが簡単にPCなどで閲覧できる。またデータ保存(CSVファイル)も可能である。
井坂氏は「信号灯など機器を入れ替える必要なく、あらゆる機器で、簡単に見える化を実現できることが強みだ。工作機械を製造していた実績などから耐環境性に優れた製品ラインアップもそろえている」と強みについて述べている。
中小製造業向けに積極的に提案
同社では以前から、さまざまな異種システム環境が稼働する工場内で「つながる」を実現するために小型のボード型PLC「TOYOPUC-Plus」などを展開。とにかく既存の設備や機器を有効活用して、製造現場によるIoT活用を実現する取り組みに注力している。これらの取り組みから、今後はあらためて中小製造業への取り組みを強化していく方針である。
「既存環境を生かしたIoEの実現は、特に中小製造業にこそ価値を発揮すると考えている。これらの先進技術は大企業のものだと敬遠する中小製造業も多いが、この障壁を少しでも下げることで、より多くの製造業に価値を訴求し、製造現場の競争力強化に貢献していく」と井坂氏は述べている。
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