スマート工場のカギを握るAGV、オリックスがレンタルに本腰:無人搬送車
計測器レンタルなどを展開するオリックス・レンテックは、ロボットレンタルサービスの拡大に向けて、自動搬送用ロボットを中心としたショールームを開設した。
計測機器のレンタルなどを展開するオリックス・レンテックは2017年9月27日、ロボットレンタルサービス「RoboRen」の事業拡大に伴い、東京技術センター(東京都町田市)内に自動搬送用ロボット(AGV)や作業支援ロボットのロボットショールーム「Tokyo Robot Lab.2」を開設した。
複数のAGVが行き交うショールーム
Tokyo Robot Lab.2は、2017年1月に開設した複数メーカーの最新型次世代ロボットショールーム「Tokyo Robot Lab」(※1)に続く新たな常設展示スペースである。延べ床面積は125m2で、自動搬送用ロボットの走行デモンストレーションエリアを設けている。
(※1)関連記事:共に働く相棒をレンタル、オリックスが協働ロボットのショールーム開設
複数の自動搬送ロボットが障害物を検知し自動停止する動作や、レーザースキャナーで周囲の空間距離を計測しながら走行する動作などを体験できる。今後ラインアップ予定のロボットを含めて展示。自動搬送ロボット「LD-60」(オムロン)、同「S-CART」「THOUZER」(日本電産シンポ)、同「SmartAGV」(シャープ)、清掃用ロボットの「RcDC」(アマノ)、電動バランサー「Moon Lifter」(ロボテック)、パワフルアームの「PFB2」(CKD)、アシストスーツ「マッスルスーツ」(イノフィス)の7メーカー8機種を展示する。
今回自動搬送用ロボットのショールームを開設した背景には「2017年の2〜3月あたりから自動搬送用ロボットへの反応が高まってきた」(同社)ことがあるという。
日本国内では、製造現場をはじめ、さまざまな分野で労働人口の減少や生産性の向上への対策が急務となっている。解決策の1つとして、企業によるロボットの導入検討が進む一方、高額な初期コストをはじめ、機種の選定知識や操作方法の習得などが課題となっている。オリックス・レンテックは、業界に先駆けて2016年4月からロボットのレンタルサービス「RoboRen」を開始した。約40年にわたる精密機器のレンタルビジネスにおける資産管理ノウハウを生かし、次世代ロボットのレンタルと自社専任エンジニアによる技術サポートを行っている。
また、ロボットを導入したことのない企業にも安心してロボットを利用してもらえるよう「6カ月お試しレンタルパック」を提供している。さらに、ロボットショールームTokyo Robot Lab.、Tokyo Robot Lab.2では、動作や操作性を身近に体感するとともに、複数メーカーの機器を比較検討することができる。
オリックス・レンテック取締役社長の井尻康之氏は「2016年4月からロボット事業を開始し、これまでモノづくり分野のロボットを中心に12メーカー、20機種のロボットを展開。どの機種を使えばよいのか分からないという要望に対して、このレンタルという制度はマッチしている。半年間使ってもらい、効果がよければ継続もしくは購入してもらう。費用対効果に合わなければキャンセルするという形をとっている。2017年1月に開設したラボには約1200人が来場。今後は搬送用ロボットを中心に展開し、新しい取り組みを行う」などと述べた。
これまでのレンタル事業での引き合い件数は協働ロボットを中心に約600件でエレクトロニクス企業が37%を占める。また、非ロボットユーザー(これまでロボットを使ったことがない企業・工場・部門)が約7割に達している。成約件数は226件となっており、非ロボットユーザーは6割となっている。
Tokyo Robot Lab.については「マルチベンダー型の体験ショールームとして、安川電機とFANUCの製品が同じ場所にあり、それを体験できる」(同社)などの評価を受け、オープン後累計400社、1263人が訪れた。また、「来場者のうち中小企業の割合は33%を占め、今後、ロボット導入事例が増えれば中小企業にも浸透していくことが見込める」(同社)と、今後取り組みを強化する中小企業での需要拡大を期待している。
今後もオリックス・レンテックでは、引き続き高い需要が見込まれる製造業分野、生活分野、医療・福祉分野、公共分野を中心に「RoboRen」を拡大し、日本国内の人材不足の解消や生産性向上などの課題解決に取り組む。2021年3月末には150億円、3000台の購入を目標にしており、事業拡大に伴い、ロボットエンジニアを現在の5人から13人に増やす計画だ。
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