人工知能で走る搬送用ロボ、目指すのは生産ラインの「超柔軟性」:産業用ロボット(1/2 ページ)
オムロンは人とロボットが協調するモノづくり現場実現に向け米国子会社オムロンアデプトテクノロジーズが開発した無人搬送用ロボットを世界33カ国で発売する。
オムロンは2016年10月3日、人と機械が協調したモノづくり現場の実現に向け、米国子会社オムロンアデプトテクノロジーズ(以下、OAT)が開発した「屋内用モバイルロボットLDプラットフォーム」2シリーズ4形式を2017年1月20日より世界33カ国で一斉に発売すると発表した。
OATは2015年9月にオムロンが買収を発表※)。オムロンの制御技術とOATがもともと保有していた産業用ロボット技術を組み合わせることで、新たなモノづくりの価値を実現することを目指してきた。
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2016年4月にはOATの産業用ロボットの販売も開始。既に両社を融合した取り組みが進んでいる※)。
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こうした流れの中、両社の強みを組み合わせ新たな付加価値を実現したのが、独自の人工知能(AI)技術を搭載した「モバイルロボットLD」である。
環境地図作製と自己位置推定を同時に実現
「モバイルロボットLD」は、モノづくりの現場をはじめ、研究施設、物流倉庫などさまざまな屋内空間で、人や障害物を自動で回避しながら最適なルートを自ら考え、決められた場所に荷物を届ける搬送ロボットである。
従来の無人搬送車(AGV)が、ルートを定めるためにレールの役割を果たすマーカーや印などを設置しなければならなかったのに対し、新製品では、内蔵するレーザースキャナーで動作環境を測定し、SLAM(環境地図作製と自己位置推定)技術によって移動可能な範囲の地図を自動的に作製。地図とレーザースキャナーの測定結果を照らし合わせて自らの位置を特定しながら、人や障害物をどのように動いて避けるかをリアルタイムに考え、ぶつかることなく、最大130Kgの搬送物を運ぶ。さらに、カメラオプションを搭載することで、物流倉庫など頻繁に荷物の位置が変化する環境にも柔軟に対応可能としている。
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