物流の問題解決を自動搬送ロボットとビッグデータで、ベンチャーの挑戦
楽天物流の社長を務めた人物の立ち上げたベンチャーが、自動搬送ロボットとビッグデータで物流現場の問題解決に取り組む。
物流支援事業を手掛けるGROUNDは2016年1月27日、インドのロボットベンチャー GreyOrangeならび、コンサルティングのアビームコンサルティングとの提携を発表。GreyOrangeの開発した自動搬送ロボット「Butler」を利用し、物流の高度化“Intelligent Logistics”を展開するとした。
アスクルや楽天などで長く物流事業に携わっていたGROUNDの代表取締役社長、宮田啓友氏は「15兆円程度を占めるまでに至っているEコマースの急激な成長もあり、物流の要件は高度化している。しかも、労働人口は減少している。マニュアルオペレーションでは対応しきれない」と現状の改善と進化のために新たなテクノロジーの導入が必要だと強調する。
同社の提案する“Intelligent Logistics”は、GreyOrangeの開発した搬送ロボット「Butler」を利用しての「倉庫内自動搬送システム」、配送所を含めた調達部分を紙からデジタルにする「クラウド形調達システム」、それらを結び付ける「ビッグデータ」にて構築される。
GreyOrangeはロボットの提供、アビームコンサルティングは同社の倉庫内情報統合管理クラウドサービスや物流システム設計/分析などを通じてのシステム構築支援を担う。既にアパレル関連企業Diamond headへの先行導入が決定しており、2016年夏から本格展開する予定だ。
GreyOrangeのButlerは倉庫内で発生する「棚入れ」「保管」「ピッキング」の各作業を自動化するロボット。作業員が倉庫内を歩き回らずとも発送作業を進めることが可能となるため、大幅な作業効率の向上が見込める。
物流現場の人手不足という問題についてはITシステム導入による効率化の他、米Amazon.comが2012年に物流センター向け運搬ロボットメーカーの米Kiva Systemsを買収、物流システムの省力化を進めるという事例があり、日本国内においてもZMPが台車型物流支援ロボット「CarriRo」(キャリロ)の受注を2015年夏より開始するなど、ロボット技術側からのアプローチも行われている。
Diamond headへの導入が公表されたとはいえ、GROUNDのロボットとIT技術で物流を効率化するという取り組みがどのような効果(費用対効果)を発揮するかは分からない。ただ、GROUNDによる導入においてButlerは7台を1ユニットとして運用し、利用拠点の規模や流通量に応じての段階的な導入も可能としており、事業の成長や変化に対応できる柔軟性を持つことは大きな特徴といえる。
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