人手不足の物流現場を救うのは「かるがも」!?:産業用ロボット
ZMPは機械部品メーカーのTHK、日本電産シンポ、東京藝術大学と共同で、汎用台車型ロボット「CarriRo(キャリロ)」を開発したと発表した。運搬負荷を軽減するアシスト機能や、作業員を自動で追従する機能が搭載されおり、物流現場の作業員不足の解消や生産性の向上を図るという。ZMPは2015年中の販売を予定している。
ZMPは2014年7月2日、東京都内で会見を開き、機械部品メーカーのTHK、日本電産シンポ、東京藝術大学と共同で物流支援ロボット「CarriRo(キャリロ)」を開発したと発表した。CarriRoは荷物の運搬に用いる汎用台車型のロボットで、運搬負荷を軽減するアシスト機能や、作業員を自動で追従する機能、指定したエリアを自律移動する機能が搭載されている。ZMPはこのCarriRoによって、物流業界の現場で課題となっている作業員不足の解消や、生産性の向上が見込めるとしている。また、工場内の部品搬送などでの利用も期待できる。同社はCarriRoを2014年秋頃から物流会社向けにサンプル出荷して共同実証実験を行い、2015年中には約40万円(6年リースで月額7000円程度)で販売する予定だ。
CarriRoにはパワーアシスト機能が搭載されており、作業員が手押しレバーを押すと台車が自動で前進し、作業員の運搬負荷を軽減させる。また、特徴的なのが「かるがも機能」と呼ばれる追従機能だ。CarriRoにはセンサーが内蔵されているため、発信器を装着した作業員や台車の後を追従することができる。さらに自律走行機能も搭載されており、ビーコン付きのポールを設置したエリア内で、CarriRoを自律走行させたいルートを作業員が手押しで走らせると、CarriRoはその経路を記憶して自律移動する。
CarriRoのホイールには、THKと日本電産シンポの技術によって新開発された「ロータリーモジュールインホイール」が採用されており、その場で回転することもできる。このホイールは、軸受け、減速機、モーターが一体化した形状で、部品点数の削減によりコンパクトなサイズと回転精度の向上や省エネを実現した。減速機は日本電産シンポが開発した「トラクション減速機」が使われている。これは歯車の代わりに金属ローラーを使用した減速機で、衝撃を受けても歯こぼれすることがなく、駆動時の騒音や振動が小さいというのが特徴だ。
会見ではその他の詳細なスペックは非公開となったが、ZMP代表取締役社長の谷口亘氏は「今回発表したCarriRoはプロトタイプで、詳細な仕様は今後現場のニーズ合わせて詰めていく。可搬積載能力は100kg程度を目指しており、最低でも30〜50kgは運搬できるように開発する予定。今の段階では2〜3センチの段差は越えることが可能だが、それは現場の環境やホイールのサイズによって変化するので、そういった部分も今後の共同実証実験で検証していく」と語った。
ロボット開発の最前線
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