「ヘルシオ」が食をIoT化、宅配の食材を並べてボタン1つでプロの味に:製造業IoT(2/2 ページ)
シャープは調理家電「ヘルシオ」専用の料理キット宅配サービス「ヘルシオデリ」を開始すると発表した。2020年には、カット野菜や食材の宅配、配食などを含めた国内食サービス市場2000億円のうち10%に当たる200億円の売上高を目指す。
有名レストランのシェフが専用レシピを作成
シャープ IoT通信事業本部 IoTクラウド事業部 サービスマーケティング部長の松本融氏は「女性の社会進出や核家族化の進展により、食市場は変化している。現在は、自宅で食べる内食ではカンタン内食派が増加しており、市場全体ではデパートの総菜に代表される中食市場が成長している」と説明する。
ヘルシオデリは現在の食市場のトレンドと、AIoT家電として進化したヘルシオの機能を基に開発したサービスになる。「スマートフォンは、ハードウェアにソフトウェアやコンテンツが組み合わさって価値を生み出している。IoT化した調理家電でも、ソフトウェアやコンテンツが重要になるが、その1つが料理キット宅配サービスになるのではないかと考えた」(松本氏)。
ヘルシオデリで用意したメニューは、2〜3人前で3800円という価格を考えると、日常的な食事というよりも、週末などに楽しむ特別な食事という位置付けだ。そこで、ぐるなびと提携する有名レストランのシェフが、宅配された食材を並べてヘルシオに入れて、自動調理ボタンを押すだけで完成する専用のレシピを作成した。
今回発表されたメニューの多くは準備時間が約5分、調理時間は10〜30分程度と極めて簡単に調理できるようになっている。「食のIoT化により、シェフの技を自宅で再現できる」(松本氏)というわけだ。
シャープは、ヘルシオデリの枠組みをプラットフォーム化し、有名レストランのシェフがさらに広く参加できるようにしていきたい考えだ。さらに「今回は“プレミアム”な料理キットになっているが、今後は需要に応じてスイーツや日常的な食事の料理キットを宅配することも検討していきたい。2020年の売上高目標の200億円は、これらの広がりを含めたもの」(長谷川氏)としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「AIoT」を社外に広げるシャープ、強みは音声対話技術にあり
シャープは、AIとIoTを組み合わせた「AIoT」を今後の成長に向けた事業の柱の1つに据えている。「ソフトバンクワールド 2017」の講演に登壇したシャープ IoT通信事業本部 IoTクラウド事業部長の白石奈緒樹氏は、AIoTを自社製品に応用するだけでなく、社外顧客にも「AIoTプラットフォーム」として広く展開していく方針を示した。 - スマート工場提案を強化するシャープ、アシスト台車や画像センサーなど
シャープはB2Bの総合展示会ビジネスソリューションフェアを開催。同社のB2B商品、サービス、ソリューションを紹介。FAソリューション分野の製品では画像センサーカメラ、アシスト台車などの実機を出展した。 - 「初代iPhoneに匹敵するチャレンジ」――「RoBoHoN」はシャープを照らすか
シャープのロボット電話「RoBoHoN」が20万円で発売される。「知性と愛着」を掲げるロボット電話は経営再建中のシャープを照らす光となれるのか。 - 空気清浄機が蚊を取る? シャープが狙う新市場
シャープが2016年4月に発売した「蚊取空清」は、蚊取り機能を持つ「世界初」の空気清浄機である。なぜ空気清浄機に蚊取り機能を持たせたのか、開発にはどのような苦労があったのか。小寺信良氏が探る。 - パナソニックのIoT×家電事業にコーヒー焙煎の世界チャンピオンが協力する理由
パナソニックは、IoT×調理家電を活用した新たな食のサービス事業として、コーヒーの生豆を宅配し、その生豆に最適な焙煎を自宅で行える「The Roast(ザ・ロースト)」を発表した。焙煎の決め手になる焙煎プロファイルは、世界チャンピオンの後藤直紀氏が提供する。 - 新生CEATECでまだ家電を展示しているシャープだからできること
他の電機メーカーにできないことがあると思うんです。