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いまさら聞けないLoRaWAN入門産業用ネットワーク技術解説(4/4 ページ)

IoTデバイスを開発する上で重要なLPWA(低消費電力広域通信)ネットワークのうち、自前で基地局設置ができることから注目を集めているのが「LoRaWAN」です。本稿では、このLoRaWANについて、利用者視点で解説します。

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LoRaWAN開発の実際

 LoRaWANを利用した実際のIoTデバイスの開発について、SORACOM Air for LoRaWAN の共有ゲートウェイを利用した例を挙げながら解説します。全体像は図9の通りです。デバイス側で必要なものはマイコンとLoRaトランシーバー(モデム相当)です。本例ではマイコンに「Arduino UNO R3」を、LoRaトランシーバーには「Arduino UNO」で利用可能なLoRa開発シールド「AL-050」を利用します。

図9
図9 LoRaWANの開発の実際(クリックで拡大)

 マイコン側では下記のようなプログラム(スケッチ)で、LoRaWAN通信が実現できます(図10)。今回利用したAL-050については、ソラコムからArduino用ライブラリが無償公開されているので、それを利用しています。

図10
図10 マイコン側の実装(クリックで拡大)

 データの可視化については「SORACOM Harvest」というデータ蓄積・可視化サービスを利用しています。この設定も、SORACOMのWebコンソールから SORACOM Harvestを利用するスイッチをONにするだけで図11のようなグラフや送信されたJSONテキストを確認できます。

図11
図11 SORACOM Harvestの設定と可視化(クリックで拡大)

 ペイロードサイズが小さいことは既に紹介済みですね。先のプログラム(スケッチ)では、分かりやすさとクラウドでの再利用性を考慮してJSONとして送信していますが、実際の開発においてはバイナリフォーマットが主体となるでしょう。その場合、クラウド側での展開や利用が難しくなります(図12)。

図12
図12 限られたペイロードでのデータフォーマット設計(クリックで拡大) 出典:ソラコム(クリックで拡大)

 本稿で紹介したSORACOMでは「バイナリパーサー機能」によって、バイナリ列をJSONに変換する機能があり、これを利用することでペイロード設計の幅を広げることができるようになっています。こういったサービスが受けられるのも、フルマネージドサービスの利用の利点となるでしょう。

図13
図13 バイナリパーサー機能(クリックで拡大) 出典:ソラコム

おわりに

 以上、LoRaWANにおける基礎的な知識から、利用をするために必要なものから商用サービスのご紹介、そして実際の実装を紹介してきました。LoRaWANは利用環境が整っているLPWAの1つです。少ない投資で実際にご利用できるので、ぜひとも試してみてはいかがでしょうか。

プロフィール

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松下 享平(まつした こうへい) 株式会社ソラコム テクノロジー・エバンジェリスト 事業開発マネージャー

ソラコムの事業開発マネージャーとして主にデバイスの企画を担当しながら、エバンジェリストとして、SORACOMサービスを企業・開発者により理解、活用してもらうための講演活動を担当。前職はぷらっとホーム株式会社にてIoTソリューションを担当。サブギガ/BLEを用いたIoTシステム構築等、先駆的なIoT導入事例に関わる。

IoT通信プラットフォームSORACOM
https://soracom.jp

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