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いまさら聞けないLoRaWAN入門産業用ネットワーク技術解説(3/4 ページ)

IoTデバイスを開発する上で重要なLPWA(低消費電力広域通信)ネットワークのうち、自前で基地局設置ができることから注目を集めているのが「LoRaWAN」です。本稿では、このLoRaWANについて、利用者視点で解説します。

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LoRaWANの利用と商用サービス

 LoRaWANを始めるに当たって、一般的にはLoRaWANのデバイスとアプリケーションを準備する他には、ゲートウェイ、ネットワークサーバも利用者自身で準備、構築する必要があります(図5)。

図5
図5 一般的なLoRaWANシステム(クリックで拡大)

 国内におけるLoRaWANの商用サービスの提供事業者としては、2017年2月にサービスを開始したソラコムの「SORACOM Air for LoRaWAN」があります。ソラコムのサービスではネットワークサーバがフルマネージドで提供されます(図6)。

図6
図6 「SORACOM Air for LoRaWAN」が提供するLoRaWANシステムの範囲(クリックで拡大)

 その他、福岡市で展開されている「Fukuoka City LoRaWAN」においてはネットワークサーバがフルマネージドで提供される他、基地局であるゲートウェイも設置済みのものを利用できます。LoRaWANと同じく有力なLPWAの方式であるSigfoxと同様、デバイスとアプリケーションを用意すれば利用可能なサービスになる見込みです。

 全てを自前で準備するのは規模によっては費用対効果が見込めないため、フルマネージドなネットワークサーバと、自前もしくは事業者が設置したゲートウェイを組み合わせて利用する形態が現実的といえるでしょう。

LoRaWANデバイス

 LoRaWANを利用するためのハードウェアも充実してきています(図7)。これらのハードウェアを利用する場合、デバイス固有のID(DevEUI)をLoRaWANネットワークサーバに登録することで通信が可能となります。ゲートウェイからネットワークサーバなど全てを自営する場合は問題になりませんが、LoRaWAN事業者のサービスを利用する際にはDevEUIの登録が必要となる場合があるため、他方で購入したLoRaWANデバイスが事業者のネットワークサーバで利用できるか確認する必要があります。

図7
図7 LoRaWANデバイスの例(クリックで拡大)

基地局(ゲートウェイ)の設置

 LoRaWANにおける基地局(LoRaWANではゲートウェイと称します)ですが、日本の場合基本的には利用者自身が設置を行う必要があります。特定小電力無線を利用する、無線局免許が不要な通信となります。そのため原則自由に基地局の運営ができることが最大のメリットです。この「運営」の意味ですが、設置場所はもちろん、設置後の移動やメンテナンスやサービス終了のための停波ということも含まれています。

 商用サービスの項目でも紹介しましたが、セルラー通信やSigfox同様に、基地局を設置して提供する事業者も現れています。先に紹介したFukuoka City LoRaWANにおいてはNTTネオメイトと福岡市が、また静岡県藤枝市で行っているLPWA実証実験ではソフトバンクと藤枝市が基地局の設置と運営を行っており、利用者は設置済みの基地局を利用することで、デバイスとアプリケーションの開発に専念できるようになっています。

 ここまでは利用者、もしくは単一の事業者それぞれが基地局を設置するモデルを紹介してきましたが、利用者が設置した基地局を共有することで電波という有限の資源を効率よく利用しようという取り組みもあります。商用サービスでも紹介したSORACOM Air for LoRaWANの基地局の「共有モデル」というサービスです。

 ソラコムが所有するゲートウェイを利用者が設置し、そのゲートウェイを他の利用者を含めて共有するという仕組みです(図8)。

図8
図8 一般的なLoRaWANゲートウェイの利用とSORACOM Air for LoRaWANにおける共有ゲートウェイの違い(クリックで拡大) 出典:ソラコム資料を元に筆者が再構成

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