ホンダ新型「N-BOX」、車重950kgの先代モデルから“150kg”削り取る:車両デザイン(2/2 ページ)
ホンダは軽自動車「N-BOX」を全面改良して発表した。ボディーやシャシーで大幅な軽量化を図り先代モデル比で車両重量を150kg削減した。商品力向上のための機能追加で70kg増加したのを差し引いても、80kgの軽量化を達成した。
また、ドアの開口部にはローラーで加圧しながら電極で連続的に溶接する「シーム溶接」を採用した。フロア周辺の骨格の接合には高粘度接着剤を用い、接合面積を広くすることで剛性を確保している。これらはN-BOXのために設備を新規に導入したという。さらに、燃料電池車「クラリティ フューエルセル」で採用した溶接技術であるレーザーブレーズをルーフサイドに用いた。この技術を大量生産モデルに適用するのは初めてだとしている。樹脂製のルーフモールが不要となり、デザイン性の向上と軽量化が図られた。
この他、アクセルペダルやトランスマウント、エンジンサイドマウント、トルクロッドの一部を樹脂化。また、EPSモーターの小型化やブレーキキャリパーの形状最適化、フロントナックルのアルミ化やフロントダンパーのロッド中空化なども実施し、軽量化部品を多用した。
前後席を隔てるベンチシートの弱点を克服
フロアは先代モデルよりも衝突安全性能を高めながら軽量化できる構造にした。先代モデルでは、床下を前後に通したフロアフレームと外側のサイドシルフレームで衝突エネルギーを分散、吸収していた。新型ではフロアの前端にY字のトラス構造フレームを採用、フロアクロスメンバーとサイドシルフレームで衝突エネルギーを受ける構造とした。フロアフレームをなくしたことで軽量化も図った。
新型N-BOXは、ロングスライド機構を採用した「スーパースライドシート仕様」と従来と同様のベンチシート仕様を用意した。スーパースライドシート仕様の販売比率は全体の3割程度を想定している。また、家庭での介護を見据えたスロープ仕様も2018年春に追加する。フロアや燃料タンク、エアコンユニットは、こうしたバリエーションに対応した形状としている。
燃料タンクは、FF車向けは助手席側を従来モデルから70mm薄型化。4WD車向けはプロペラシャフトをまたぐ形状のタンクを新開発した。これらによって、ロングスライド機構を配置できるようにしている。なお、タンク容量はFF車向けが27l、4WD車向けが25lとなっている。エアコンユニットは小型化した上でインストゥルメントパネルの中央に配置し、助手席の足元空間を広げて前方へのスライド量も確保した。
ロングスライド機構の採用の背景には、ミニバンのような機能が軽自動車にもほしいという要望があったわけではない。「ベンチシートでは後部座席の子どもに目を配りにくい」「前席と後席で話しにくい」といったN-BOXユーザーからの声に応える手段として取り入れた。
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