「声」を集めて使う基盤を開発、新たなビジネスモデル創出へ:製造ITニュース
東芝デジタルソリューションズは、東芝コミュニケーションAI「RECAIUS」の音声合成技術を活用し、「声」を収集、蓄積、提供するプラットフォーム「コエステーション」(β版)を開発した。
東芝デジタルソリューションズは2017年7月20日、同社のコミュニケーションAI(人工知能)「RECAIUS(リカイアス)」の音声合成技術を活用し、「声」を収集、蓄積、提供するプラットフォーム「コエステーション」(β版)を開発したと発表した。同年中の事業化を予定している。
コエステーションの一般利用者は、スマートフォンのアプリを使用し、指定された文章を読み上げて声の特徴を学習させ、自身の声の分身である「コエ」を生成する。この「コエ」を使って、SNSやゲームなどさまざまな場面で任意のテキストを発話できるようになる。今後、プラットフォーム上に登録されている声優やタレントの「コエ」など、音声の選択肢を増やして、音声コミュニケーションの幅を広げることも視野に入れている。
一般利用者に加え、エンターテインメント業界やメディア業界などにも同サービスを展開するため、クリーク・アンド・リバーと戦略的な協業関係を構築することに合意し、契約を締結した。
コエステーションのビジネス向けの仕組みづくりも進めており、声優やタレントなど、プロの声の提供元(声主)向けには、ゲームのキャラクターにプレーヤーの名前を呼ばせるなど、録音ではできなかった新しい商品やサービスに「コエ」を活用していく。
また、アニメ制作会社など向けに、登録されている「コエ」の中からニーズに合ったものを見つけてコンテンツ制作に利用できるようにする。SNS運営会社などのサービスプロバイダー向けには、コエステーションを活用した音声合成APIや組み込みミドルウェアを用意し、「コエ」を利用した新サービスを展開できるようにする。
同サービスの市場投入にあたっては、声主の権利を保護し、適切に利用されるための仕組みづくりや犯罪対策が必要となる。同社では、著作権およびコンテンツの管理/流通に強みを持つクリーク・アンド・リバーと共同で、事業化に向けた課題に対応していくとしている。
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