日本で全く話題にならないLPWA「EC-GSM-IoT」は途上国で花開く:IoT観測所(35)(3/3 ページ)
日本で全く話題にならないLPWAがある。2G技術のGSMをベースとする「EC-GSM-IoT」だ。ただし、3Gの普及もままならないアフリカや南米などの開発途上国では、EC-GSM-IoTがIoTの通信を担う可能性が高い。
EC-GSM-IoTはどの通信会社が手掛けるのか
では通信会社はどこが手を上げたのかというと、特にアフリカに強いオレンジ(Orange)である。オレンジの母体はフランステレコム(France Telecom)であり、フランスはアフリカに多く植民地を持っていたこともあり、現在同社は欧州とアフリカ合わせて29カ国に直接通信ネットワークを提供している(ローミングとかパートナーまで合わせると全世界で200カ国になるそうだが)。
そんなわけでオレンジはEC-GSM-IoTにかなり積極的であり、2016年末までに研究所でのテストを完了し、欧州の中央部で2017年第1四半期からフィールドテストを開始している。同社は明確にターゲットを「インドやサハラ砂漠以南のアフリカ、ラテンアメリカ」と規定しており、このマーケットに向けて2018年の商用サービス開始を計画している(図3)。
さてアプリケーションはというと、2017年2月開催の「Mobile Wireless Congress 2017」のタイミングで、Groundtruthが、オレンジとシエラワイヤレス(Sierra Wireless)、それにノキアがパートナーシップを結んで、Groundtruthが提供する低価格の測候所にEC-GSM-IoTを組み込むことを発表しており、これが最初のアプリケーションになると思われる。
先にちょっと出てきたが、EC-GSM-IoT自身は5Ahのバッテリーで10年の電池寿命とされる。単三電池が大体2Ahのバッテリー容量なので、センサー部を含めても単三電池4本程度の構成なら10年近く駆動し続けることが期待できる。またモデムの価格そのものもGPRS/GSM対応のモデムより廉価になるとしており、NB-IoTほどではないにせよかなり低価格に落ち着くと見られている。
ということで、簡単にEC-GSM-IoTについて紹介した。冒頭でも述べたように、何しろGSMがベースなので、日本国内では一切利用できない(日本以外でGSMが利用できないのは韓国、北朝鮮、ツバルの3カ国だけ)規格ではあるが、特にアフリカや南米などの開発途上国では、次第に広がる可能性があるといえるだろう。
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