見える、見えるぞ、私の体臭が! ニオイの見える化はオープンイノベーションから:イノベーションのレシピ(2/2 ページ)
コニカミノルタは「世界初」(同社)とするニオイ見える化チェッカー「Kunkun body」を発表。頭、耳の後ろ、脇、足の4カ所について、3大体臭といわれる汗臭、加齢臭、ミドル脂臭を数値として測定できるデバイスだ。オープンイノベーションにより、アイデア出しから約2年という短期間で商用化した点にも注目だ。
93%が体臭を測定できることに魅力を「感じる」
Kunkun bodyは、アイデアが出た2015年夏から約2年でクラウドファンディングでの商用化にまで持っていくことができた。しかし、コニカミノルタのBIC Japanのは、実質2人の担当者で進めてきたというのが実情だ。
甲田氏は「BIC Japanのメンバーはアイデアと行動力はあるものの、足りないものはたくさんある。オープンイノベーションの実践がなければ、Kunkun bodyは商用化できなかっただろう。パートナーの皆さまには大変感謝している」と強調する。
まず、ニオイセンサーの開発に協力した大阪工業大学の大松氏とは、展示会の「イノベーション・ジャパン」で出会った。大松氏はコーヒーやワインの香りを嗅ぎ分ける技術などを開発していたが、BIC Japanから体臭嗅ぎ分けの共同研究を申し出て、快諾してもらったという。
そこから、臭気判定士や調香士、工業デザイナーといった専門家とのマッチングでビザスク、人間中心設計のUI開発でユー・アイズ・デザイン、共同展開可能な商品として消臭肌着「MXP」を扱うゴールドウイン、ハードウェア/アプリケーションの設計開発を担当したコスモなど、多数のパートナーと連携することで短期開発を実現できた。
また、1年前の2016年夏に完成していた試作機を使って、全国で約2000人を対象に体験イベントを実施。体臭が測定できることへの魅力を「感じる」が54%、「やや感じる」が39%で、合計93%が前向きというアンケート結果を得ており、サービス受容性があるという見込みでのクラウドファンディングとなった。
実際にクラウドファインディングは、目標金額の225万円に対して、2017年7月18日10時時点で約1980万円の支援を集めており、大きな反響を得ているといえるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- サーバ付き複合機はその一端、コニカミノルタが挑む「持続的パートナー」への道
IoTによるビジネス変革が進む中、新たに発表したサーバ付き複合機「Workplace Hub」を中核とした新規事業創出を進めるのがコニカミノルタだ。同社のビジネスモデル転換について、コニカミノルタ 執行役 産業光学システム事業本部長の市村雄二氏に話を聞いた。 - 収益不問で投資とリソース活用は自由? 放任主義が生むイノベーション
コニカミノルタには、イノベーションのために放任主義が貫かれた部署がある。立ち上げは社外の人材によって行われ、投資や社外との共同開発を自由に行う裁量が与えられている。設立3年にして、新規サービスの開発という目標に向けた活動が製品として形になり始めている。 - サーバ付き複合機から始まる、コニカミノルタのIoTプラットフォーム構想
コニカミノルタは、企業のITインフラを統合/管理できるIoTビジネスプラットフォーム「Workplace Hub(ワークプレイスハブ)」を発表。サーバ付き複合機を中核としてに2017年秋からオフィス向けに販売を始める。同社の汎用的なIoTプラットフォームとして構想されており、医療分野や製造業に向けた開発も進んでいる。 - 10年で10事業から撤退、イノベーションに活路を見いだすコニカミノルタの挑戦
日系製造業は事業環境の変化に悩まされ続けている。その中で新たなビジネスの芽を生み出し続けることは非常に重要な課題である。「10年で10事業から撤退した」というコニカミノルタでは、ロジックでイノベーションを生み出すため、組織的な取り組みに力を注ぐ。 - デンソーの新事業8分野、一気通貫ソリューションに向け「自前主義から脱却」
デンソーが、主力事業である自動車部品の技術を基に他分野へ展開を広げている新事業の取り組みについて紹介。2011年以降新たに立ち上げた8分野では、ソリューションビジネスを視野に入れ、自前主義から脱却しパートナー企業との連携を重視する方針だ。 - 下請けからパートナーへ、元世界2位が「脱EMS」を掲げる理由
EMSの大手企業であるシンガポールのフレクストロニクス・インターナショナルが業態転換への取り組みを加速させている。「製造」だけを受託する下請け的な関係から、製品戦略の今後を担う「パートナー」としての位置付けへの転換を狙う。