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下請けからパートナーへ、元世界2位が「脱EMS」を掲げる理由イノベーションのレシピ(1/2 ページ)

EMSの大手企業であるシンガポールのフレクストロニクス・インターナショナルが業態転換への取り組みを加速させている。「製造」だけを受託する下請け的な関係から、製品戦略の今後を担う「パートナー」としての位置付けへの転換を狙う。

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 シンガポールのEMS(電子機器生産受託サービス)大手であるフレクストロニクス・インターナショナル(Flextronics International、以下フレクストロニクス)は2016年10月14日、都内で記者会見を行い、新たに「スケッチ・トゥ・スケール」という戦略のもと、電子機器以外の他産業への製造受託へとビジネスモデル転換を図る方針を示した。さらに製造部分の受託という「下請け」的な役割だけでなく、製品戦略に継続的に関わり続ける「パートナー」としての位置付けへの転換を狙うことも示唆した。

「スケッチ・トゥ・スケール」への転換

 シンガポールのフレクストロニクスといえば、グローバルで高い存在感を示すEMSの大手企業である。iPhoneなどを製造しシャープを買収した台湾の鴻海精密工業のライバル企業として有名で、EMSの売上高ランキングでは2位の座を確保してきた。しかし、2014年以降、新たな戦略を発表し「脱EMS」を掲げている。

 同社が新たな戦略として掲げたのが「スケッチ・トゥ・スケール」である。同社が示す「スケッチ・トゥ・スケール」とは、従来PCやスマートフォン、プリンタなど電子機器の受託生産が中心だったのを、対象をほぼ全産業に拡大し成長する戦略である。電子機器製造で積み上げてきた設計や開発、製造プロセスなどの他、グローバルでの製造、調達網のサプライチェーンなどを、他の産業向けに提供していく。

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フレクストロニクスが蓄積してきた電子機器受託設計でのエコシステム。これらを活用して他の産業での革新を実現する(クリックで拡大)出典:フレクストロニクス

 戦略転換の背景にあるのが、あらゆる産業のデジタル化と機器のスマート化である。IoT(Internet of Things、モノのインターネット)の普及拡大により、あらゆる機器がスマート化し、これらで得られるデータを活用した新たなビジネスモデルが広がろうとしている。こうした動きは「第4次産業革命」とも呼ばれ、既存の産業の枠組みを越えて広がっている。

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フレクストロニクスのコンシューマー・テクノロジー・グループ・プレジデントであるマイク・デニソン氏

 こうしたスマート製品を先行する存在がスマートフォンである。これらのスマート製品を開発するのに、フレクストロニクスが携わってきたスマートフォンの設計や開発、製造などのノウハウがそのまま生かせるというわけだ。

 フレクストロニクスのコンシューマー・テクノロジー・グループ・プレジデントであるマイク・デニソン(Mike Dennison)氏は「スマート製品の設計、開発やグローバルのサプライチェーンなどのノウハウを活用し、あらゆる産業のデジタル化の動きを捉えていく。保有しているリソースを生かして企業の革新を支援していく」と述べている。

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スマート化の流れから期待できるとする産業分野(クリックで拡大)出典:フレクストロニクス

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