見える、見えるぞ、私の体臭が! ニオイの見える化はオープンイノベーションから:イノベーションのレシピ(1/2 ページ)
コニカミノルタは「世界初」(同社)とするニオイ見える化チェッカー「Kunkun body」を発表。頭、耳の後ろ、脇、足の4カ所について、3大体臭といわれる汗臭、加齢臭、ミドル脂臭を数値として測定できるデバイスだ。オープンイノベーションにより、アイデア出しから約2年という短期間で商用化した点にも注目だ。
コニカミノルタは2017年7月13日、東京都内で会見を開き、「世界初」(同社)とするニオイ見える化チェッカー「Kunkun body」を発表した。頭、耳の後ろ、脇、足の4カ所について、3大体臭といわれる汗臭、加齢臭、ミドル脂臭を測定するデバイスで、体臭のレベルを0〜100の値で見える化することができる。同日からクラウドファンディングサイトMAKUAKEでの先行販売を開始した。なお、一般販売時の希望小売価格は3万円となっている。
コニカミノルタは、新規事業を手掛けるBusiness Innovation Center(BIC)を、米国のシリコンバレー、英国のロンドン、アジア太平洋地域のシンガポール、中国の上海、そして日本の東京と世界の5拠点に展開している(。Kunkun bodyの開発は、東京の本拠を置く、BIC Japanが担当した。BIC Japan所長の波木井卓氏は「BICは、各地域や市場のニーズに即して、顧客起点で新たにビジネスを作り出すことを目的としている組織だ。顧客起点となると、コニカミノルタがさまざまな技術を持っているといってもマッチすることはまれ。このためオープンイノベーションを重視しており、最終的にはコニカミノルタの技術を使わなくても構わないというスタンスをとっている」と語る。
BICが対象にしている分野は「クローバルコミュニケーション」「ライフサイエンス」「インダストリアルセンシング」の3つ。今回のKunkun bodyはライフサイエンス分野のプロジェクトになる。「5カ所のBICで20のプロジェクト、総計100のプロジェクトが進行中。既に商用化したものもいくつかある」(波木井氏)という。
ニオイ検出プラットフォーム「HANA」
Kunkun bodyの開発のきっかけは2015年夏にさかのぼる。そのころBIC Japanのメンバーはほとんどが40代の男性だったが、雑談の中で「体臭が気になる」という話が出た。そこから「体臭を計測する機械はあまりない」ということで、BICのプロジェクトの候補になった。
開発担当のコニカミノルタ BIC Japan インキュベーション リードの甲田大介氏は「ニオイへの対策はデオドラントや消臭スプレーなど結構そろっている。その一方で、ニオイを測定する手段がない。そこで、ニオイを定量化するシステムを実現すれば世の中に新しい価値を提供できるのではないかと考えた」と語る。
このニオイを定量化するシステムとして開発したのが、ニューラルネットワークに基づくニオイ検出プラットフォーム「HANA(High Accuracy Nose Assist」だ。HANAに展開するアプリケーションの第1弾が、ヒト向けデバイス/サービスとなるKunkun bodyというわけだ。「今後はHANAをベースに、空間やモノのニオイを検出するデバイスやサービスの展開も検討している」(甲田氏)という。
なお、HANAのベースになるニオイセンサーは、大阪工業大学のロボティクス&デザイン工学部システムデザイン工学科 Innovation Research&地域産業技術プラットフォームの客員教授 大松繁氏との共同研究から生まれた。4つの臭気センサーから得たセンサー情報波形の組み合わせに対して機械学習を行うことで、汗臭、加齢臭、ミドル脂臭を計測できるようにした。
Kunkun bodyには、このHANAベースのセンサー、電子回路、Bluetooth通信機能、リチウムイオン電池が組み込まれている。ニオイ測定のためのユーザーインタフェース(UI)はスマートフォンのアプリを使用する。スマートフォンの画面からニオイを測定する箇所を選んで、Kunkun bodyを測定箇所から約1cmの近傍にかざしてボタンを押せば、約20秒間で測定が終了。測定箇所の汗臭、加齢臭、ミドル脂臭、ニオイの総合レベルが0〜100で示され、ニオイ対策のコメントなども表示される。
主な用途としては、スメルハラスメント対策、接客業の品質向上、販促ツールなどを想定しているが、「まずは、クラウドファンディングを通して、ニオイの見える化デバイスをどこまで受け入れていただけるかを確かめたい」(甲田氏)としている。
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