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プラットフォーマーになれないパナソニックが描いた“勝ち筋”製造業IoT(2/2 ページ)

パナソニック コネクティッドソリューションズ社はこのほど新社長に就任した樋口泰行氏が記者向けの懇談会に登壇。「現場」を基軸とした“ラストワンマイル”にこそ勝算があるとした。

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パナソニックが描く“勝ち筋”の例

 CNS社では現状の事業だけで見ても、決済端末や、AVソリューション、高輝度プロジェクター、溶接機や実装機、航空機向け映像ソリューションなどの事業では、高いシェアを保有しており、単体事業としても強みを発揮している。ただ、今後生みだす新たな領域として期待感が高いのが「サービス産業のオートメーション化」である。

 サービス業では深刻な人手不足に悩んでおり、事業展開に影響が出ているところが多い。現状でもデジタル化は進んでいるが、実際にモノに関わる領域では人手で行っている部分が多い。これらのプロセスを標準化していくことで自動化していくことが可能となる。

 樋口氏は「顧客の要望として、期待値が高いのがサービス産業の省力化や省人化の領域だ。物流や小売など、人材不足が深刻化しており、既にオートメーション化(自動化)領域の拡大が待ったなしの状況となっている。こうした中で一足先にオートメーション化を進めてきた製造業や製造現場のノウハウを展開できる。パナソニックでは生産技術本部がグローバルでの生産革新活動を進めてきており、さまざまなノウハウを抱えている。専用治具の開発やさまざまなロボットや装置を制御する技術なども抱えている。こういう技術を工場から飛び出させて、倉庫や厨房などでも使えるようにしていく。まずは一部パートナーと先進的に取り組みを進め、新たな知見を含めて水平展開できるようにしたい」と語っている。

 さらに、各種機器を組み合わせる領域でもまだまだ勝算があると樋口氏は指摘する。「モノが動く領域は、1つの要素がなくなれば実現できない場合がある。こうした領域で幅広い製品やデバイス、技術を持つからこそ可能なEnd to Endソリューションを提案していく。パナソニックの総合力を発揮することで、単品と単品を組み合わせるだけでもさまざまな付加価値を提供できる」と樋口氏は述べる。

組織の壁を破る取り組み

 これらの新たな価値創出は、現場起点、顧客起点でなければ、難しい。パナソニックでは収益性改善への取り組みの中で事業部制を復活させ、厳格な運用を進めてきた。しかし「事業部ごとの部分最適ではなく、顧客起点で逆算して事業部同士が協力する形が生まれなければ、ソリューションは生み出せない」と樋口氏。しかし、既存の組織を大きく変革するのは難しい。「意識改革やコミュニケーションツールの活用などは進めていくが、顧客のところに会いに行って顧客の力で組織の壁を打ち破るようなことに取り組みたい」と樋口氏は述べている。

 さらに「今までさまざまな会社を経験してきたが、特にダイエーの変革の時には、多くのコンサルタントなど、プロフェッショナルの人々と仕事をする機会を得た。しかし、こうした人々は1人の人間としては素晴らしいプロフェッショナルだが、現場の社員からすると親和性のない人が多い。結局現場がこの人たちの言うことをやろうと思わないという場面に多く出会った。最終的には現場で働く人の心の方が大事で、文化的に企業や現場と親和性がないと駄目だと感じた。そういう意味では、文化的にベースがあり、外資の経験もあったから選ばれたのかと、考えている。『外の経験がある人が入らないと変革が進まない』と明示的にいわれたのでパナソニック内にも高い危機感があると感じている」と、樋口氏は文化的親和性での重要さを述べている。

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