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三菱電機が第4次産業革命で変えること、変えないこと製造業×IoT キーマンインタビュー(1/4 ページ)

IoTがもたらす革新は、製造業にどういう影響をもたらすのだろうか。FA大手の三菱電機は、IoTによる製造現場の革新に危機感を持って立ち向かう。三菱電機 執行役員で、FAシステム事業本部 e-F@ctory戦略プロジェクトグループ プロジェクトマネージャーの山本雅之氏に話を聞いた。

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 IoT(Internet of Things、モノのインターネット)による産業革新は、あらゆる範囲の産業に影響を及ぼしつつある。こうした中で製造業はこの流れにどう立ち向かい、どう取り込んでいくべきなのだろうか。製造業の工場を支えるFA大手の三菱電機では「変わらないもの」と「変わらなければならないもの」を見極めながら、危機感を持って変革を進めている。三菱電機 執行役員でFAシステム事業本部 e-F@ctory戦略プロジェクトグループ プロジェクトマネージャーの山本雅之氏に話を聞いた。山本氏は政府主導で設立した「ロボット革命イニシアティブ協議会」において「IoTによる製造ビジネス変革WG」の共同主査も務めている。

本連載の趣旨

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ITmedia産業5メディア総力特集「IoTがもたらす製造業の革新」のメイン企画として本連載「製造業×IoT キーマンインタビュー」を実施しています。キーマンたちがどのようにIoTを捉え、どのような取り組みを進めているかを示すことで、共通項や違いを示し、製造業への指針をあぶり出します。
⇒連載のバックナンバーはこちらから


三菱電機の考えるIoTの価値

MONOist インダストリー4.0をはじめ、世界各国におけるIoTによる製造業革新の動きが加速しています。FAおよび生産財の大手メーカーとして三菱電機ではその影響を感じていると思いますが、IoTによる変革をどう捉えていますか。

山本氏 IoTは非常に多くの範囲の産業に影響を与えるものだが、キーワードは「つなぐ」「つながる」ということに尽きる。それが意味するものは「顧客との距離が近くなる」ということだと考えている。われわれや、われわれの顧客が提供する製品がIoT化することにより、エンドユーザーがどういうことに取り組み、どういう動きをしているのか、ということが分かるようになる。製造業でいえば、モノづくりの手法をより効率的で柔軟なものに変えることができるようになるというのが1つある。もう1つが、モノづくりがもたらす価値が本質的に変わるという点がある。価値の提供の方法が「モノ」から「コト」へという「製造業のサービス化」への流れである。

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山本雅之氏:三菱電機 執行役員でFAシステム事業本部 e-F@ctory戦略プロジェクトグループ プロジェクトマネージャー、ロボット革命イニシアティブ協議会 IoTによる製造ビジネス変革WGの共同主査も務める

 ただし、気を付けなければならないのが、「モノ」から「コト」へと価値が移るといっても、モノづくりの本質的な価値は残るという点だ。踊らされすぎてはいけない。「モノ」の価値の上に、「コト」の価値が追加される形で拡大していくということだと考えている。当然、これらの変化に対応していかなければならないが、変わるところと変わらないところを把握しなければならないと考えている。

MONOist IoT活用は特に工場においてスマートファクトリーや「つながる工場」として盛り上がりを見せています。

山本氏 われわれの顧客にはさまざまな製造業があるが、よく「IoTをやりたいけれどどうしたらよいのか」というような問い合わせを受ける。しかし、そういう時に毎回逆に聞き返しているのが「IoTで何がやりたいのか」ということだ。IoTなどICT(情報通信技術)は手段であって、目的ではない。まず自社の工場や製造業としての運営で「やりたいこと」があり、そこにどういう形でIoTやICTが使えるのかを考えていかなければならない。そこをはき違えてはいけない。

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