「KM流エッジIoT」が進化の源に、コニカミノルタが“仕込み”を成果に変える:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
コニカミノルタは、2017〜2019年度の新中期経営計画「SHINKA 2019」を発表。前中計「TRANSFORM 2016」における“仕込み”を確実に成果として出していくフェーズとなる。
KM流エッジIoTをどのように強くしていくのか
KM流エッジIoTで強みとするのは、画像/光学分野のコア技術を用いた現場でリアルタイム処理と課題解決になる。その一方で、コニカミノルタの強みを生かせないようであれば、エッジIoTにはこだわらず、マイクロソフトやシスコシステムズ、HPE、SAPなどのグローバルパートナーのクラウドやAI(人工知能)を活用する。
山名氏は「特に中小/中堅企業に向けて、バーティカルにB2BのエッジIoTプラットフォームを提供できるようにしていく。グローバルパートナーの大手企業は、これらの中小/中堅企業にアクセスしたいと考えており、当社もコア技術を生かせない分野では彼らの力を借りたいのでWin-Winだ。そのためにも、KM流エッジIoTの強みを生かした事業体制を、SHINKA 2019の3年間で何が何でも形にする。そうしなければ、有力なクラウドやAIを持つグローバルパートナーの大手企業の下請けにしかならないだろう」と強調する。
またKM流エッジIoTでは、従来の製品分野別のような縦割りの事業体制と一線を画していく。ワークプレイスハブを中核に、各国・地域の販社が、さまざまな業種・業態に展開する「Go To Market体制の構築」を進める。その体制を強化するため、BICと同様に世界5極にIoTビジネスセンターを開設し、各国・地域の現場の需要に対応した開発を行えるようにしていくという。
基盤事業で300億円のコスト改善
基盤事業の収益力強化では、3カ年で300億円のコスト改善を目指す。マレーシア工場で取り組みを進めているデジタルマニュファクチャリングの成果出しと横展開で160億円、KM流エッジIoTのノウハウを活用した故障予知やリモートサービスなどで60億円、管理間接機能の簡素化で80億円という構成になっている。また、業績数字に大きな影響を与えているユーロ感応度についても「ユーロ−円の為替で1円円高に傾くと12億円悪化しているのが現状。これを、ユーロでの調達を増やすなどして、3カ年で影響を半減させたい」(山名氏)という。
前中計のTRANSFORM 2016から、新中計のSHINKA 2019にかけて、成長事業と新規事業は投資モードが続く。しかし、SHINKA 2019の最終年度の2019年度には、収益を稼ぎ出す段階に入るとしている。そして2021年度には、利益の半分を成長事業と新規事業で占めることを想定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- サーバ付き複合機はその一端、コニカミノルタが挑む「持続的パートナー」への道
IoTによるビジネス変革が進む中、新たに発表したサーバ付き複合機「Workplace Hub」を中核とした新規事業創出を進めるのがコニカミノルタだ。同社のビジネスモデル転換について、コニカミノルタ 執行役 産業光学システム事業本部長の市村雄二氏に話を聞いた。 - コアは画像でIoT基盤で支える、コニカミノルタが描く製造業の姿
コニカミノルタは、ハノーバーメッセ2017において、同社のコア技術である画像を核とした技術群と、2017年3月に発表したIoTビジネスプラットフォーム「Workplace Hub」を組み合わせたデジタル製造ソリューションをアピールした。 - コニカミノルタのエッジIoTプラットフォームは「オフィス向けだけじゃない」
コニカミノルタは、エッジIoTプラットフォーム「Workplace Hub」の国内向け説明会を開催。同社社長兼CEOの山名昌衛氏は「Workplace Hubをきっかけに、ソフトウェアやサービスの進化にハードウェアを取り入れる新しい製造業の在り方に挑戦する。自らの手で変わる、ゲームチェンジャーになりたい」と語り、デジタル革新に挑む同社の姿勢を訴えた。 - サーバ付き複合機から始まる、コニカミノルタのIoTプラットフォーム構想
コニカミノルタは、企業のITインフラを統合/管理できるIoTビジネスプラットフォーム「Workplace Hub(ワークプレイスハブ)」を発表。サーバ付き複合機を中核としてに2017年秋からオフィス向けに販売を始める。同社の汎用的なIoTプラットフォームとして構想されており、医療分野や製造業に向けた開発も進んでいる。 - コニカミノルタは2020年に向け「エッジコンピューティングを強みにしていく」
コニカミノルタが、2020年度を想定した事業の方向性や規模感を示す中期事業戦略を説明。2020年度の売上高目標は2015年度比4200億円増の1兆5000億円となる。同社社長の山名昌衛氏は、目標達成に向けて、「サイバーフィジカルシステムの枠組みの中で、エッジコンピューティングを強みにしていきたい」と語った。 - 10年で10事業から撤退、イノベーションに活路を見いだすコニカミノルタの挑戦
日系製造業は事業環境の変化に悩まされ続けている。その中で新たなビジネスの芽を生み出し続けることは非常に重要な課題である。「10年で10事業から撤退した」というコニカミノルタでは、ロジックでイノベーションを生み出すため、組織的な取り組みに力を注ぐ。