血圧の24時間測定で日内変動を記録、気温・気圧・身体の動きも同時にセンシング:医療機器ニュース
自治医科大学は、エー・アンド・デイとの共同研究により、マルチセンサー携帯型自動血圧計を開発した。気温、気圧といった環境生活信号と、血圧、心拍、脈波波形の生体信号を同時に時系列評価できる。
自治医科大学は2017年4月17日、エー・アンド・デイと共同で、マルチセンサー携帯型自動血圧計「TM-2441」を開発したと発表した。気温、気圧、高感度身体活動といった環境生活信号と、血圧、心拍、脈波波形の生体信号を同時に時系列評価できる。税別価格は25万円となっている。
携帯型自動血圧計は、小型かつ自由行動下での血圧測定ができる。24時間の血圧測定により、夜間睡眠時の血圧を含め、1日の中での血圧の変動を検出できる。TM-2441は、血圧測定に加え、体動を検知する加速度センサーや気温・気圧センサーを実装している。これにより、従来の携帯型自動血圧計よりも詳細な血圧の評価ができる。
また、24時間血圧計としてだけでなく、家庭用血圧計、診察室血圧計としても使用可能だ。TM-2441の自己血圧測定には「診察室血圧」「自動診察室血圧」「家庭血圧」「夜間家庭血圧(設定した時刻に測定)」「アラーム自己測定(設定した時刻にアラームが鳴り測定を促す)」の5種類のモードがある。どのモードで測定したかは、測定結果とともに本体メモリに記録される。
他に、IHB(Irregular Heart Beat:不規則脈波)の検出も可能で、測定中の脈間隔のうち、平均の脈間隔から一定以上の脈間隔になるとIHBマークを表示する。排気速度の適切な制御などにより、測定時間も短縮した。
サイズは95×66×24.5mmで、電池を除いた本体質量は約135g。前モデルと比べて39%軽量化、21%小型化し、装着時の被測定者の負担を軽減した。本体のマイクロUSB専用端子で専用解析装置と接続すれば、データの転送や装置の設定などができる。Bluetooth無線機器とのケーブルレス通信も可能だ。
TM-2441を用いることで、日常生活における個々のリスク因子を検出し、個人の環境/生活リズムを考慮した循環器疾患の個別治療へつなげることができる。今後はTM-2441を活用し、ビッグデータを用いた臨床エビデンス構築を目指す。
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