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HDDの故障診断技術を応用、低圧迫で“痛くない”血圧測定をNECが発表医療技術(1/2 ページ)

NECは、上腕部に強い圧力をかけなくても血圧を正確に測定できる技術を開発した。サーバやPCに搭載されているHDDの故障診断技術を応用したもので、血管の振動波形から血圧を推測する。

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 NECは2014年10月15日、上腕部に強い圧力をかけなくても血圧を測定できる技術を開発したと発表、試作器のデモを行った。同技術は、横浜市立大学医学部の杤久保(とちくぼ)修特任教授と共同開発したもので、血管の振動波形から血圧を求める。

 一般的な血圧測定は、

  1. 上腕部に巻いたカフで血管を圧迫し、血流を止める
  2. カフの圧力を緩めていくと、止まった血流が再び流れ始める(以下、血流再開)
  3. 圧力をさらに緩めると、通常の血流に戻る

という流れで行われる。(2)の血圧が最高血圧、(3)の血圧が最低血圧となる。血圧測定で最も正しい値とされるのは、医師が聴診器を使って行う聴診測定だ。この場合、医師は(2)では血流再開の音を聞き、(3)では血流が全開した音を聞いている。


既存の血圧測定法(クリックで拡大)

血流を止めずに測定

 このように、血流を止めて血圧を測定する方法が一般的だが、今回NECが開発した技術は、血流を止めることなく測定できるのが最大の特長になる。

左=試作器の外観。右=従来の24時間血圧測定器(左)と、試作器を装着した様子(クリックで拡大)

 同技術の要になるのは、杤久保教授が提唱している、「血流を止めずに、血管の振動波形から血圧を求める理論」である。血流再開音と血流全開音を、音の代わりに血管が振動する波形を用いて検出するというものだ。波形と血圧の相関関係を利用して、血圧を求める。


血流を止めずに、血管振動波形を利用して血圧を測定する(クリックで拡大)

 ただし、この方法では、まだ上腕部に最高血圧以上の圧迫が必要だ。そこでNECは、弱い圧迫で得られる振動波形から最高血圧を推定する技術を開発した。

  1. 弱い圧迫をかけ、ノイズを含む血管振動波形を取得
  2. 開発したノイズフィルタで、血圧判定可能な振動波形になるまでノイズを取り除く
  3. 最高血圧を算出するために、不足していると推定される圧力を足す

という流れで血圧測定を行う。最高血圧以上の圧迫を得るには、通常180〜200mmHgの圧力をかけるが、試作器では100〜120mmHgほどの圧力で済む。

左=弱い圧迫で血圧を測定することができる。右=既存品に比べて、どの程度弱い圧迫で済むのかを風船を使って示している。同じ大きさの風船に、血圧を測るときと同じように加圧していった。既存品(下)の風船が大きく膨らんでいるのに対し、試作器の風船はそれほど膨らんでいない(クリックで拡大)

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