シーメンスが産業用IoT基盤を展開、製造装置の予防保全などに活用:FAニュース
シーメンスは、クラウドベースの産業用オープンIoT基盤「MindSphere」の展開を開始した。日本でも提供を開始する。
シーメンスは2017年4月10日、クラウドベースの産業用オープンIoTオペレーションシステム「MindSphere」の実証試験を終え、2017年4月から日本でも提供を開始した。当面はβ版としてのリリースだが、継続的に開発を進め、機能強化を目指す。
機械メーカーやプラント建設業では、サービス目的で、全世界の機械や設備をモニタリングしたり、ダウンタイムを減らしたり、最終的には新しいビジネスモデルを提供したりすることも検討している。MindSphereはこれらのデジタルサービス基盤となるクラウドベースのオープンなIoTプラットフォームである。
利用を想定する製造業ユーザーにとっては、各種製造装置や工場などの情報をMindSphere上に吸い上げ、遠隔監視を実現したり、これらの情報を解析して最適な作業へとフィードバックしたりできる。将来的にはユーザーは、MindSphere上で独自のWebサービスなどを開発できるようにし、マザー工場の知見をグローバルの他の工場で展開するというようなことが可能になるとしている。
技術的なベースとしてはSAPのクラウド「SAP HANA cloud platform」が利用されているが、シーメンスの機器やサービスと組み合わせた産業用途での利用を想定しており、クラウド上でのアプリケーション操作などを可能とする。通信プロトコルのベースはOPCが基軸。データの置き場所については、ユーザーが自由に選択できるようにする他、アプリケーションなどもユーザーが自由に開発できるオープンアプリケーションフレームワークを採用している。
MindSphereは、シーメンスのデータベースサービスも担っており、例えば、工作機械の予防保全や統合型ドライブシステムなども活用できる。MindSphereに接続するために、シーメンスは産業用ゲートウェイの「MindConnect Nano」を提供する。これは実証試験で得た経験を生かして開発したものだという。さらに、ソフトウェア開発キット(Software Development Kit、SDK)や産業用オートメーションシステムSimaticとの統合なども計画しており、今後市場投入を進めていく。
関連記事
- インダストリー4.0実現に必要な要素を埋めるシーメンス、クラウド基盤なども
シーメンスは、ハノーバーメッセ2016において、同社が推進する「デジタルエンタープライズ」コンセプトを発展。新たにクラウド基盤をリリースする他、IoTの活用などで必須となるセキュリティコンセプトなどを紹介した。 - ロボットアームの故障予知技術をソフトウェアパッケージに、ISIDが開発中
電通国際情報サービス(ISID)は、産業用ロボットアームの故障を予知する「産業用ロボットアーム モーター故障予兆ソリューション」をソフトウェアパッケージ化して提供する方針を固めた。2017年7月の発売に向けて開発を鋭意進めている。 - 第4次産業革命の真の幕開けとなる2017年、カギを握るIoTプラットフォーム
2016年は製造業におけるIoT活用が具体的なものとして進展した1年となったが、2017年もその流れはとどまることはない。実導入や実活用に向けた本格的な動きが広がる中で2016年に注目を集めたのが、IoTを活用する基盤「IoTプラットフォーム」である。さまざまな解釈、さまざまなレイヤーのIoTプラットフォームが乱立する中、2017年はIoT基盤の整理が進む1年となる。 - 第4次産業革命を支えるIoTプラットフォームって結局何なの?
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについてお伝えしています。第10回となる今回は、2016年から雨後のタケノコのように乱立する「IoTプラットフォーム」について説明したいと思います。 - パナソニックとシーメンスの統合ラインシステムが始動、3年で100億円目指す
パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は実装ラインを統合管理する「統合ライン管理システム」を開発し、販売を開始した。同システムは2016年4月に発表したドイツのシーメンスとの協業によるもの。 - ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【前編】
「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」という言葉をご存じだろうか? 「インダストリー4.0」は、ドイツ政府が産官学の総力を結集しモノづくりの高度化を目指す戦略的プロジェクトだ。インダストリー4.0とは何なのか。同プロジェクトに参画するドイツBeckhoff Automationグループに所属する筆者が解説する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.