日欧でデータ取引市場の枠組み作りへ、推進団体の連携も:CeBIT 2017
日本政府は欧州委員会とデータ流通経済の確立に向けた対話の強化などを含む共同声明を発表した。開催中のドイツのIT国際見本市「CeBIT」で行われた会談を受けてのもの。
日本政府は2017年3月20日、欧州委員会と共同でデータ流通経済の確立に向けた対話の強化などを含む声明を発表した。同時に日本のIoT推進コンソーシアム(ITAC)とEU(欧州連合)のIoTイノベーションアライアンス(AIOTI)との間で協力を進める覚書(MOU)を締結したことも明らかにしている。これらはドイツのIT国際見本市「CeBIT」で行われた会談を受けてのもの。
製造業の中では、IoT(モノのインターネット)などの価値としてまず製造部門のIT活用拡大に大きな注目が集まり、スマートファクトリーなどへの取り組みが活発化している。しかし、IoTの真価はこうした社内の効率化などに向けた取り組みではなく、新たに得られるデータを活用した新たなビジネスモデルだとされている。この新たな市場構築に向けて必要になるのが、データ活用に関する枠組み作りである。
こうしたデータ活用の枠組み作りに向けて今回、日本と欧州が協力を進めていくことを決めた。ドイツの国際情報通信技術見本市「CeBIT 2017」(2017年3月20〜24日、ドイツ・ハノーバー)において、日本の経済産業大臣世耕弘成氏と総務大臣補佐官の太田直樹氏、個人情報保護委員会委員の熊澤春陽氏と、欧州委員会副委員長のアンドルス・アンシプ氏、同委員(司法・消費者・男女平等担当)のベラ・ヨウロバー氏が会談。データエコノミーに関する協力を進展させる共同声明を発表した。
協力を進める4つのポイント
会合の中では、経済成長、競争力、イノベーション、雇用創出、社会発展のためにデジタルデータの活用が必要不可欠な資源であるということや、個人データの保護に関するそれぞれの法制や措置について十分に考慮することが必要であるということを共有した。具体的には4つのポイントにおいて、今後、日EUビジネスラウンドテーブルなどの機会を活用した意見交換の継続を確約した。さらに日EU・ICT政策対話、日EU産業政策対話などの既存の対話と並行したデータ・エコノミーに焦点を当てた専門家会合の開催を呼びかけた。4つのポイントの内容については以下の通りである。
- 高水準のデータ保護の推進およびデータの自由な流通の促進
- 中小・中堅企業を含む産業協力の促進
- 相互学習、優良事例共有、協力促進など、データエコノミーに関する対話強化
- データエコノミーのインパクトを測定するツールの共同開発
この内、中小・中堅企業の産業協力の強化においては、日本の IoT 推進コンソーシアム(ITAC)とEUのIoTイノベーションアライアンス(AIOTI)の間で、IoTにおける協力についての覚書(MOU)が締結されており、これらの場を利用して、中堅中小企業のIoTおよびデータ産業振興を進めていく方針を示している。
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