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製造業のサービス化、考えなければならない2つのリスクとは?いまさら聞けない第4次産業革命(8)(1/3 ページ)

製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。しかし、そこで語られることは抽象的で、いまいちピンと来ません。本連載では、そうした疑問を解消するため、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて分かりやすくお伝えするつもりです。第8回は「製造業のサービス化」で考えるべきリスクについて紹介します。

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本連載の趣旨

 「第4次産業革命」や「インダストリー4.0」などの言葉を聞かない日はないほど、大きな注目を集めています。4番目の産業革命とされている通り、製造業の業態についても大きな影響を与える「第4次産業革命」ですが、その認識レベルや捉え方は置かれている立場や状況で大きく異なります。また「第4次産業革命とは結局何?」という人から「抽象論は分かったから具体的な技術の話が聞きたい」など求める情報レベルも大きく幅があるように感じています。

 そこで本連載は、「いまさら聞けない第4次産業革命」とし、第4次産業革命で製造業が受ける影響や、捉える方向性などについて、分かりやすくご紹介していきたいと考えています。ただ、単純に解説していくだけでは退屈ですので、架空のメーカー担当者を用意し、具体的なエピソードを通じて、ご紹介していくつもりです。

※)本連載では「第4次産業革命」と「インダストリー4.0」を、意味として使い分けて表記するつもりです。ドイツ連邦政府が進めるインダストリー4.0はもともと第4次産業革命という意味があります。ただ、本稿では「第4次産業革命」は一般用語として「IoTによる製造業の革新」を意味する言葉として使います。一方で「インダストリー4.0」はドイツでの取り組みを指すものとします。


本連載の登場人物

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矢面 辰二郎(やおもて たつじろう)

自動車部品や機械用部品を製造する部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長。ある日社長から「君、うちも第4次産業革命をやらんといかん」と言われたことから、話が始まる。多少優柔不断。印出研究所に入り浸っている。


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印出 鳥代(いんだす とりよ)

ドイツのインダストリー4.0などを中心に第4次産業革命をさまざまな面で研究するドイツ出身の研究者。第4次産業革命についてのさまざまな疑問に答えてくれる。サバサバした性格。


*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。

前回のあらすじ

第7回:「製造業のサービス化、予兆保全は単なる「はじめの一歩」

あらすじ背景

 従業員200人規模の部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長である矢面辰二郎氏はある日、社長から「新聞で読んだけど、君、うちも第4次産業革命をやらんといかん」と言われます。しかし、「第4次産業革命」といわれても「それが何なのか」や「どう自分たちの業務に関係するのか」がさっぱり分かりません。そこで、矢面氏は第4次産業革命研究家の印出鳥代氏に話を聞きに伺うことにしました。


 さて前回は、「製造業のサービス化(サービタイゼーション)」による新たなビジネスモデル創出について紹介しました。

 簡単に振り返ってみましょう。第6回の「第4次産業革命で『製造業がサービス業になる』ってどういうこと?」では、製造業がIoTを活用することで自らの製品からデータを常に取得することができ、稼働監視や予防保全などサービス領域を拡張できることを紹介しました。さらに第7回「製造業のサービス化、予兆保全は単なる『はじめの一歩』」ではそれにとどまらず、取得データを使って燃費改善コンサルティングを展開するGEの航空機エンジンの例を紹介し、製造業がデータを使った新たなビジネスモデルを展開できることを紹介しました。

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こうしたIoTを使った新しいビジネスの形は、まだまだほとんど成功の形が見えていないといえるわ。新しいチャンスの芽が多く眠っているといえるんじゃないかしら。


 印出氏も、こうした「製造業のサービス化」による新たなビジネスモデルの成功例を出していくことが、IoTおよび第4次産業革命の真の価値だと訴えていましたね。

 ただ、こうした新たな「製造業のサービス化」の動きについては当然リスクもあるはずです。チャンスとリスクは常に表裏一体です。現在は、製造業のサービス化への取り組みは本格的には始まったばかりですので、チャンスばかりが語られていて、あまりリスクについては語られていないように感じます。そこで今回は「製造業のサービス化」がはらむリスクを2つ紹介しておきたいと考えます。ずばり「セキュリティ」と「ビジネスモデルおよび契約の問題」です。

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