ボッシュがNVIDIAと自動運転用コンピュータを共同開発、量産は2020年代初頭:自動運転技術
Robert Boschは、2020年代初頭までに自動運転用コンピュータを量産する。NVIDIAの車載向けAI(人工知能)スーパーコンピュータ「Xavier(ザビエル)」を搭載した「DRIVE PX」をベースにする。
Robert Boschは2017年3月15日(現地時間)、2020年代初頭までに自動運転用コンピュータを量産すると発表した。NVIDIAの車載向けAI(人工知能)スーパーコンピュータ「Xavier(ザビエル)」を搭載した「DRIVE PX」をベースにする。NVIDIAとRobert Boschの提携は、2017年1月に開催したCESのNVIDIAの基調講演で既に発表されている(関連記事:「CES 2017」は自動運転車と人工知能のユートピアだった)。
開発する自動運転用コンピュータは、機械学習による運転に関するトレーニング、無人運転、無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)をカバーする。複雑な交通状況や、車両にとって初めて経験する状況でも、AIによって安全に車両を誘導するとしている。
現在は「自ら状況を判断して道路を走る方法を教えている」(Robert Bosch 取締役会長のフォルクマル・デナー氏)段階で、自社のセンサーで周辺環境を監視できるようになったという。次の段階としては、周辺環境の状況をAIが解釈し、他の道路利用者の行動を予測することを目指す。
具体的には、ターンシグナルが点灯した車両は車線を変更する可能性が高いことなど、ドライバーにとっては当たり前である知識を、自動運転用コンピュータは人工ニューラルネットワークに蓄積していく。そうした知識に基づいて複雑な交通状況を認識し、車両の制御に反映する。蓄積された知識は開発拠点で解析し、生成された知識構造を別のコンピュータにも共有してアップデートする。
Robert Boschは事業開拓につながる技術として、AI以外にクラウドやブロックチェーンを挙げている。ブロックチェーンによって、インターネット上でデータをセキュアに共有、所有するとしている。また、ブロックチェーンは中古車の販売時に問題となっているオドメーターの不正操作防止に応用する。車両で表示しているオドメーターの数値を複数のコンピュータに転送し、スマートフォンアプリなどから走行距離を確認できるようにする。クルマのオーナーはオドメーターの表示が正しいことを示す証明書の発行を受けることもできる。
AIやクラウド、ブロックチェーンなどネットワーク化技術を活用することにより、車両の故障を修理工場にリアルタイムに知らせ、修理の待ち時間を大幅に短縮する仕組みも実現するとしている。
関連記事
- 車線変更の安全確認も自動で行う、ボッシュが開発中の高速道路向け自動運転
ボッシュは、女満別テクニカルセンターにおいて開発中の自動運転車を公開した。高速道路を想定して、開発車両は時速100kmで車線変更や追い越しを行い、追い越し車線の車両が通り過ぎるのを待ってから自動で車線変更する様子も紹介。高速道路でのレベル3(操作と監視の主体はシステム)の自動運転は2021年に実用化する目標だ。 - 「電動化」「自動化」「ネットワーク化」でボッシュが生み出すもの
世界トップクラスの自動車部品サプライヤであるRobert Bosch(ボッシュ)は、「電動化」「自動化」「ネットワーク化」という3つのキーワードで事業戦略を進めている。 - つながるクルマは、ECUとワイヤーハーネスが少なくなる?
Robert Boschは、自動車で無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)が可能になる「コネクテッドゲートウェイ」を2019年に製品化する。2023年以降には、コネクテッドゲートウェイにドメインコントローラーとしての機能も内蔵した「ビークルコンピュータ」を投入。演算処理能力はノートPCとそん色ない4万〜50万DMIPSを想定している。 - ボッシュがAI研究に360億円投じる、独米印の開発拠点が2017年に稼働
Robert Boschは、2017年からAIセンターを稼働させる。2021年までに3億ユーロ(約366億円)を投資する。インド バンガロール、米国 パロアルト、ドイツ レニンゲンに拠点を置く。従業員数は各拠点を合計して100人を予定しているが、今後数年で数倍以上に増やす。 - 「CES 2017」は自動運転車と人工知能のユートピアだった
2011年からモーターショー化してきた「CES」。2017年のCESは、ついに「自動運転車と人工知能のユートピア」となった。 - 新生NXPの自動運転用コンピュータ「BlueBox」、NVIDIAとの違いは?
NXP Semiconductors(以下、NXP)が東京都内で会見を開き、同社上級副社長兼オートモーティブ部門最高責任者を務めるカート・シーバース氏が車載半導体事業の方針について説明。グーグルが採用するミリ波レーダー技術や、世界の大手自動車メーカー5社のうち4社が採用する自動運転用コンピュータ「BlueBox」などを紹介した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.