「電動化」「自動化」「ネットワーク化」でボッシュが生み出すもの:クローズアップ・メガサプライヤ(1/3 ページ)
世界トップクラスの自動車部品サプライヤであるRobert Bosch(ボッシュ)は、「電動化」「自動化」「ネットワーク化」という3つのキーワードで事業戦略を進めている。
ドイツのRobert Boschは、世界トップクラスの自動車部品サプライヤの1つとして知られている。2014年の売上高はグループ全体で前年比6.3%増の490億ユーロとなり、自動車部品事業であるモビリティーソリューションズは、同8.9%増の333億ユーロに達した。
2015年は、ZFと合弁で事業を進めてきたステアリング子会社がRobert Boschの100%子会社Robert Bosch Automotive Steeringになる。同社の2014年の売上高は43億ユーロであり、2015年のモビリティーソリューションズの売上高が増えるので、世界トップクラスではなく“世界トップ”の自動車部品サプライヤとしての地位を確実なものにするかもしれない。
そんなRobert Boschが、モビリティーソリューションズで進めようとしている事業戦略には、「電動化(electrified)」「自動化(automated)」「ネットワーク化(connected)」という3つのキーワードがある。同社の日本法人・ボッシュが2015年6月16日に開催した年次会見では技術説明会も行われ、これらのキーワードの基で進めている事業の詳細が説明された。以下に紹介していこう。
「電動化」の新トレンド「48Vシステム」
まず「電動化」について説明したのは、ボッシュのガソリンシステム事業部 副事業部長(技術統括担当) 執行役員を務めるマーティン・クリューガー氏である。
Robert Boschは、ガソリンエンジンの直噴システムやディーゼルエンジンのコモンレールなど、内燃機関関連の製品に強いイメージがある。しかし、電気自動車やハイブリッド車といった電動システムへの取り組みも強化しており、モーターやインバータを内製する体制を整えている。リチウムイオン電池についても、Samsung SDIとの合弁SB LiMotiveはうまくいかなかったが、GSユアサ、三菱商事との共同開発によって再度挑戦しているところだ。
実際に、既に30件の電気自動車(内10件がプラグインハイブリッド車)に関する開発案件を受注している。そして「2025年までに新車販売の15%が電動システムを搭載する車両になると見込んでいる」(同社)のだ。
電気自動車へのコミットとともに、今後の「電動化」の柱になりそうなのが48Vシステムだ。この48Vシステムはドイツの自動車メーカーが中心になって導入を進めているもので、パワートレインに関わる部分的なシステムの電源電圧を現行の12Vから48Vに高めるとともに、その48Vの電源電圧を出力する二次電池パックとモーターやインバータを簡易ハイブリッドシステムとして利用しようというものだ。
トヨタ自動車の「THS II」のように規模の大きなハイブリッドシステムではないので、ベースとなる内燃機関車に48Vシステムを組み合わせたハイブリッド車を早期に投入できるメリットがある。クリューガー氏は、「厳しい排気ガス規制に対応する上で、多くの車両に適用できる、費用対効果の高いソリューションだ。燃料消費量を最大15%低減できるし、48Vシステム対応のモーターから得られる最大150Nmのトルクも魅力的」と語る。
Robert Boschは、パワートレインの多様化が進むとみているが、最終的には電動システムの導入比率が高まっていくことは確実だとしている。その「電動化」の進展を、48Vシステムで支えようというわけだ。クリューガー氏は、48Vシステムの市場導入時期は明言しなかったが、2016年末〜2017年にかけて最初の48Vシステム搭載車が登場するとみられている。
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