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「電動化」「自動化」「ネットワーク化」でボッシュが生み出すものクローズアップ・メガサプライヤ(2/3 ページ)

世界トップクラスの自動車部品サプライヤであるRobert Bosch(ボッシュ)は、「電動化」「自動化」「ネットワーク化」という3つのキーワードで事業戦略を進めている。

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「第3のセンサー」とは?

 「自動化」については、ボッシュ シャシーシステムコントロール事業部 ドライバーアシスタンス部門 AD技術部 部長の千葉久氏が説明した。

 Robert Boschは、予防安全システムでも先駆的な開発を続けてきた企業だ。ABS(アンチロックブレーキシステム)に始まり、ESC(横滑り防止装置)、安価なミリ波レーダー、駐車支援システムに必須の超音波センサーなど、業界をリードしてきた分野は枚挙にいとまがない。

ボッシュの千葉久氏
ボッシュの千葉久氏

 それらの技術を持つ以上、自動運転技術の開発に取り組むのは当たり前といっていいだろう。また自動運転によって得られるメリットも多数ある。渋滞緩和や高速走行時の燃費向上、移動の効率化。高齢者でも安全に運転できるようになり、何より人為的ミスによる交通事故の削減も期待できる。

 同社は自動運転に必要な要素技術を5つ定義している。「サラウンドセンシング」「マップデータ」「システムアーキテクチャ」「安全とセキュリティ」「法規」である。

 中でも興味深いのが、やはり数々のセンサーが必要になるサラウンドセンシングだろう。千葉氏は、「車両の360度をカバーできるセンサーを持つサプライヤはそれほど多くない。Robert Boschはその1つ」と述べる。実際に、長距離対応と中距離対応のミリ波レーダーを車両の前方と後方に、ステレオカメラを車両前方に、車両の周辺の近距離認識用にカメラと超音波センサーを用いるとしている。

自動運転に必要な5つの要素技術サラウンドセンシングの例 自動運転に必要な5つの要素技術(左)とサラウンドセンシングの例(右)(クリックで拡大) 出典:ボッシュ

 興味深かったのが、ステレオカメラと並列して表記されている「第3のセンサー」だ。これは「ミリ波レーダーでもカメラでもない、異なる仕組みのセンサー」(千葉氏)だという。

 またRobert Boschのドイツ本社では、Tesla Motorsの電気自動車「モデルS」をベースにした最新の自動運転技術の試験車が2015年5月に公開されている。

ステアリング事業の役割

ボッシュのマーク・ブライエン氏
ボッシュのマーク・ブライエン氏

 「電動化」や「自動化」との関わりが深そうなのが、2015年からRobert Boschに経営統合されることになったステアリング子会社のRobert Bosch Automotive Steeringだろう。その事業内容は、ボッシュ オートモーティブ ステアリング部門長のマーク・ブライエン氏が説明した。

 ステアリング事業で期待が大きいのは電動パワーステアリング(EPS)だ。油圧ステアリングと比べて90%ものエネルギー消費を低減する効果があり、最大で20%の軽量化も見込めるなど、厳しくなる排気ガス規制への対応を考えれば採用の拡大は確実だ。

 EPSは、車両サイズに対応したステアリングラック推力によって、大まかに分けて3種類の製品がある。小型車〜中型車向けでステアリングラック推力が5〜10kNのコラムアシスト式(EPSc)、中型車〜大型車向けでステアリングラック推力が7〜12kNのデュアルピニオン式(EPSdp)、中型車〜小型商用車向けでステアリングラック推力が9〜18kNのアクシスパラレル式(EPSapa)だ。ブライエン氏は、「累計で3600万台の販売実績があるEPSdpが主力だが、EPScやEPSapaも展開を拡大していく」と述べている。

Robert Boschが展開するEPS
Robert Boschが展開するEPS。ステアリングラック推力に応じた、EPSc、EPSdp、EPSapaの3種類がある(クリックで拡大) 出典:ボッシュ

 また、Robert Boschのようにさまざまなシステムを扱うサプライヤにとって、EPSは他のシステムと連携することでさまざまな効果を生み出す。特に、自動運転技術にとって、自動車操作の要となるEPSは重要な要素になる。

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