ボッシュがAI研究に360億円投じる、独米印の開発拠点が2017年に稼働:人工知能ニュース
Robert Boschは、2017年からAIセンターを稼働させる。2021年までに3億ユーロ(約366億円)を投資する。インド バンガロール、米国 パロアルト、ドイツ レニンゲンに拠点を置く。従業員数は各拠点を合計して100人を予定しているが、今後数年で数倍以上に増やす。
Robert Bosch(ロバート・ボッシュ)は、2017年からAIセンター(BCAI:Bosch Center for Artificial Intelligence)を稼働させると発表した。2021年までに3億ユーロ(約366億円)を投資する。インド バンガロール、米国 パロアルト、ドイツ レニンゲンに拠点を置く。従業員数は各拠点を合計して100人を予定しているが、今後数年で数倍以上に増やす計画だ。
AIセンターは、人工知能(AI)分野の専門知識を強化するために設立した。研究活動を行うだけでなく、同社の全部門でAIを実用化するシステムに育成する。製品に組み込むだけでなく、コネクテッド・マニュファクチャリング(ネットワーク化された製造)の改良にも応用する。
Robert Bosch CEOのフォルクマル・デナー氏は「今後10年で、AI抜きで作られるボッシュ製品はほとんどなくなる。製品自体がAIを内蔵するか、少なくともその開発と製造過程でAIが重要な役割を担う。5年以内にAIを備えた製品がボッシュの売上高の10%を占めるだろう」と述べている。
Robert BoschはAIを活用して、モノを「インテリジェントなアシスタント」に替えようとしている。米国の市場調査会社Tracticaの予測では、AIによるアシスタントを利用する人が2021年までに3.5倍以上に増加するという。
これに向けて、Robert Boschは家庭用ロボットの「Kuri」、スマートキッチン向けのアシスタント「Mykie」を「CES 2017」(2017年1月5〜8日、米国ネバダ州ラスベガス)で披露した。
Kuriは2017年末に米国で市販予定。子どもを模した高さ50cmほどの本体に、スピーカー、マイク、カメラ、センサーを内蔵している。家族の一員となることを目指し、人間とのコミュニケーション能力を持たせる、パーソナル化を重視して設計した。ベッドに入った子どもにおとぎ話を読み聞かせたり、子供たちが学校から帰ってくると両親にそれを報告したりする。
Mykieは冷蔵庫の中身を把握して買い物リストを作成したり、調理を助けたりするという。
また、AIによってクルマがインテリジェントなアシスタントとして実現可能なことを示すコンセプトカーもCES 2017で紹介した。さまざまな生活シーンがシームレスに接続され、クルマは異なるドメイン間の通信において中心的な役割を担うと位置付けている。また、超音波センサーを使ってジェスチャー操作に対して触覚フィードバックを行う新技術も搭載している。
Robert Boschでは、2017年末までに車両とスマートホームを結ぶ通信の基礎技術の確立を目指す。
関連記事
- AIは開いた世界で力を失う、弱点を補う人間の存在
2017年1月18〜20日に開催された「AIカンファレンス2017」の基調講演に日本のAI研究の第一人者といわれる国立情報学研究所の山田誠二氏(人工知能学会会長)が登壇。人とAIの望ましい関係性について語った。 - 「電動化」「自動化」「ネットワーク化」でボッシュが生み出すもの
世界トップクラスの自動車部品サプライヤであるRobert Bosch(ボッシュ)は、「電動化」「自動化」「ネットワーク化」という3つのキーワードで事業戦略を進めている。 - つながるクルマは、ECUとワイヤーハーネスが少なくなる?
Robert Boschは、自動車で無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)が可能になる「コネクテッドゲートウェイ」を2019年に製品化する。2023年以降には、コネクテッドゲートウェイにドメインコントローラーとしての機能も内蔵した「ビークルコンピュータ」を投入。演算処理能力はノートPCとそん色ない4万〜50万DMIPSを想定している。 - 自動運転中に快適に過ごせる車内とは?
Robert Boschは、自動運転車の車内を自宅と職場に次ぐもう1つの居住空間にしようとしている。2021年には、HMI(ヒューマンマシンインタフェース)を通じて、車内の照明の色やディスプレイ表示を変えるだけでなく、運転中に必要なサポートまでドライバーに最適化する。また、自動運転中にテレビ会議を支障なく行えるまで通信できるようにする。 - ボッシュが欧州発の緊急通報サービス「eCall」を日本向けに提供、2016年末から
ボッシュは、2016年末から日本で緊急通報システム「eCall」の提供を開始する。新車装着用の機能として自動車メーカーに納入するとともに、通報を受け付けるコールセンターを日本に新設してeCallに対応したサービス体制を整える。また、車両を問わず後付け可能なeCallアダプターの投入も計画している。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.