ニュース
出資や協業が相次ぐHERE、複数のパートナーと組む狙いは:自動運転技術(3/3 ページ)
「2016年は変革の年、2017年は実行の年」だというHERE。2016年は出資と協業で大きな動きが相次いだ。複数の企業と協力する狙いをHERE オートモーティブ事業部 APAC市場戦略本部 統括本部長のマンダリ・カレシー氏が語った。
自動車業界にも他業界にも使いやすく
このように多方面でパートナー企業と協力するのは、HEREが得意分野に集中し、それ以外をパートナーに任せるためだ。「われわれは統一プラットフォーム戦略を展開し、お客さまにとって使いやすい形で提供していく。これまでは、地図データがあり、それを画面に出していた。今後は、地図データという箱に生データを入れておき、箱の中を検索、分析するオープンロケーションプラットフォームに変わっていく。それを自動車に限らず、物流や輸送、金融などさまざまな業界に展開する。今まで接点の薄かった業界にも使いやすくしたいと考えている」(カレシー氏)。
オープンロケーションプラットフォームの重点分野は自動車だ。車載情報機器向けには、2021〜2023年ごろをターゲットに「一部自動運転」を使用中の情報の出し方を検討していく。クラウドにセンサー情報を集めて活用したリアルタイムな交通情報サービスも提供する。
「一部自動運転」よりも高度だが無人運転ではない「高度自動運転」に向けた地図も展開する。従来の地図データからレベルアップするポイントは大きく2点ある。1つ目は、車線のつながりを示すロジカルモデルで、自動運転システムがいつ車線変更すべきか分かるようにする。もう1つは標識や、正確な自車位置を特定するのに重要な情報を盛り込んだローカライゼーションレイヤーだとしている。
関連記事
- アウディとBMWとダイムラーが3社連合でHEREを買収した理由
アウディ、BMW、ダイムラーのドイツ自動車メーカー3社連合が、ノキアの100%子会社で地図情報サービス大手のHEREを買収した。HEREを詳しく取材してきた桃田健史氏がその理由をひも解く。そして今回のHERE買収は、今後数年間で起こるであろう、自動車産業の構造大転換のプロローグにすぎないという。 - アウディもBMWもダイムラーも欲しがる高精度地図データの雄、HEREの現在地
HEREは、高精度な3次元地図データをはじめ、自動運転車を実用化する上で重要な技術を持つ企業だ。配車サービスのUberや、アウディ、BMW、ダイムラーの3社連合が買収に名乗りを上げるなど注目を集めているが、そのHEREの現在の事業展開はどのようなものなのか。同社のアジア太平洋地域担当本部長を務めるマンダリ・カレシー氏に話を聞いた。 - 画像認識のデファクト企業「Mobileye」は自動運転時代の主役となるか
単眼カメラを用いる先進運転支援システム(ADAS)向けのSoC(System on Chip)やアルゴリズムの設計開発を手掛けるMobileye(モービルアイ)。これまで脇役に徹してきた同社に対する注目が一気に高まっている。Mobileyeはどういった企業で、今後どのような事業展開を目指そうとしているのか。同社に詳しい桃田健史氏が解説する。 - IoTでつながるクルマの未来――コネクテッドカーに向け電機業界がなすべきこと
今後の製造業の発展に向けて必要不可欠とみられているIoT(モノのインターネット)。本連載では、IoTの現在地を確認するとともに、産業別のIoT活用の方向性を提示していく。第2回は、つながるクルマ=コネクテッドカーとしてIoT端末の1つになる自動車を取り上げる。 - 「CES 2017」は自動運転車と人工知能のユートピアだった
2011年からモーターショー化してきた「CES」。2017年のCESは、ついに「自動運転車と人工知能のユートピア」となった。 - 「ナイトライダー」が現実に、音声アシスタントの進化が止まらない
脚光を浴びるIoT(モノのインターネット)だが、製造業にとってIoT活用の方向性が見いだしきれたとはいえない状況だ。本連載では、世界の先進的な事例などから「IoTと製造業の深イイ関係」を模索していく。第3回は、IoTと人工知能(AI)との連携によって進化が加速している音声アシスタント機能の動向に迫る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.